前回、チェックインタイムの14時に到着したら、すでに長蛇の列だったので、今回は少し早めの到着を目指すことにした。客の多くはチェックインタイムを目掛けてやってくるようだったので、早く着けば長い列の後ろに並ぶこともないだろうと思ったからだ。実際にホテルに着いたのは13時40分だった。確かに行列はなかったが、ロビーの状況にまたしても驚かされてしまった。
正面玄関を入ったところまで、宴会場で使う椅子がびっしりと並べられており、それらの椅子にはチェックインを待つ客が座っていた。それはまるで、病院の待合室か空港の搭乗ゲートのようだった。本来なら、ロビーに足を踏み入れれば、堂々たる最上階までの吹き抜けや、SF映画のセットのような立体感溢れる造形に目を奪われるはずだが、それよりも座って待つ人の熱気に注意が向いてしまう。ちょうど、人で溢れた空港で、芸術的な建築美や装飾にさほど目が行かないような具合にだ。
しかし、フロントに目をやると、手続きは開始されておらず、係はのん気そうに構えていた。600室を越える規模のホテルで、チェックインとチェックアウトを一手に担当するのがたった6箇所のカウンターでは、さばききれないのは目に見えているような気がする。カウンター周辺に客が待つだけのスペース的な余裕がないので、ロビーを横切る行列が出来たり、正面玄関前にまで椅子を並べるというみっともないことになるわけだ。このホテル最大の設計ミスだと思う。
ロビーで驚いていると、係が近づいてきて「ご到着ですか?」と声を掛けた。そうだと答えると、その係は年配の係を呼びに行った。年配の係は待つ客に番号札を配る係らしく、「チェックインは2時からなので、この札を持って座ってお待ち下さい。」と番号札を差し出した。その態度は、待つのが当然という感じで、客を待たせて申し訳ないという気持ちはまったくない様子だった。
あとで聞くと、この日は勲章を受ける人たちの宿泊で、いつになく混雑していたのだと言う。いつもなら14時前でもチェックイン手続きを開始するが、今日に限っては混雑に対処するため、時間前の受付はしないのだそうだ。それは逆なんじゃないかと思ったが、いずれにしても他に方法はなかったのだろうか。ホテル側も精一杯のつもりなのかもしれないが、知恵を絞って頑張っているとは感じられないのだ。開業以来混乱続きで、「待ちぼうけの宿」という印象が根付き始めているというのに、こんなことで地に落ちた評判を覆せるわけもない。かえって悪い印象を強めるだけだ。
今回利用した客室も、前回同様のジュニアスイート。ただ、向きがタワーを正面に望む側だった。道路の音は気にならないし、寝転んでも、ソファからでも東京タワーの雄姿を間近に望め、道路側よりもはるかに印象のいい客室だった。翌日は正午にチェックアウトしたが、まったく混雑はなかった。多くの客が早い時間に出発するということだろうか。一休.comなどからの予約だと、滞在時間が極めて限定されているが、その割に高い。制限の少ない自前サイトのプランの方が魅力的だ。
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