小雪舞う中、すでに多くの客で賑わうヒルトン東京ベイにチェックインしたのは、ちょうどチェックインタイムの午後3時だった。フロントカウンターにはすでに長い列ができていた。フロント前には子供が靴を脱いで自由に遊べるコーナーが設けられており、手続きをしている間に子供が退屈せずに済む工夫がなされている。チェックイン手続きは非常に丁寧だった。それは結構なことだが、待ち時間を考えると、もう少し効率を優先させることが必要に感じた。
今回予約したのは、新しく誕生したデラックスプラスルーム。元はスカイラウンジと小宴会場があった場所を全て客室にするという、大胆な改装を行った結果できた新カテゴリーの客室だ。客室階廊下もオレンジ色のカーペットに、黒と白のコントラストが生きるコンテンポラリーなインテリアだ。
ブラックの客室扉を入ると、人造石の床と半透明のクローゼット扉、洒落たデザインの照明スイッチが印象的なクールなホワイエになっている。ミニバー上は棚状になっており、ハロゲン灯の照明が鮮やかに照らす。バスルームはトイレ、ベイシン、シャワーエリアを併設したバスタブコーナーに分けられ、鏡面仕上げのステンレスがエッジの効いたデザインを際立たせている。こちらも照明効果が非常に高い。
ベイシンは子供の利用を想定してか、一般よりもかなり低く造られている。顔を洗っているだけで腰が痛くなるし、ベイシンそのものも小さいので、決して使いやすくはないのだが、限られた空間を最大限に生かした努力は感じられる。そして、その分トイレとバスタブのあるコーナーは広々としている。
特にバスタブとシャワースペースは秀作で、ゆったりとしたバスタブの前には液晶テレビが埋め込まれる他、壁面には和紙を挟み込んだガラスを使うことで、自然光を取り入れることに成功した。居室から見ると、バスルームの明かりが間接照明のような効果をもたらしているが、入浴している人のシルエットが見えることはない。また、深夜にはバスルームのナイトランプだけを使えば、眠っている人の邪魔をすることもないのがいい。
居室も非常にコンテンポラリーなデザインだ。ベッドはフランスベッド製だが、幅98センチと極めて狭い。それぞれの下にはもう一台ずつのベッドが隠れているので、最大4台のベッドを並べることができる。こうしたベッドは寝心地が悪いと相場が決まっているが、これに限っては割と快適だった。
ベッドと反対側の壁には、横幅一杯に人造石の台が据えつけられ、中央には43インチプラズマディスプレイとDVDプレイヤーが設置されている。その脇には円形のミラーが掛かり、デスクやドレッサーとして使えるスペースになっていて、天井からハロゲンのダウンライトが当たる。シンプルだが、とても使い勝手のいいデザインだ。
窓際にはデスクの下にすっぽりと収納可能なデザインになっているソファとガラスのテーブルが置かれる他、発光ダイオードがゆっくりと色を変えながら淡く光るスタンドを設置。窓のシェードは電動式で、レースの代わりに4枚のスライドスクリーンが下がっている。コンセントは多数用意されるが、LANは有料。全体的に完成度の高いデザインだが、木目部がやや安っぽいのと、壁紙もチープなので、照明効果が生きる夕方から夜に掛けてきれいに見える客室だ。それでも、隣のシェラトングランデの新デラックスルームと比べると、はるかに上質で洗練されている。
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