名古屋観光ホテルは、名古屋の老舗らしい風格を保ちながらも、親しみやすい雰囲気を持っている。以前空き地だった場所にはチャペル「サザンカペラ」を完成させるなど、館内の改装を進め、施設の一層の充実を図っているが、一方で古風な一面をうかがわせている。今回利用した既存フロアのシングルルームは、まさに昔ながらの客室という感じで、懐かしく思いながら滞在した。
18平米のシングルルームは、思っていたよりも清潔感があって、それほど窮屈な感じでもなかったが、夜に到着したせいか、室内で過ごすにはいささか気が滅入るようでもあった。室内は奥行きが短い割りに、幅を確保している。ベッドは120センチ幅で、窓に足を向けて壁に寄り添うように設置されているが、足元にはほとんど余裕がない。もう一方の壁に面してテレビの載った冷蔵庫キャビネットとデスクが設置され、間にはアームチェアとコーヒーテーブルを置いた。ユニークなのは壁に取り付けられたライトで、一見すると脚のあるスタンドのようだが、それは飾り。この照明はスタンドに見立てたブラケットだった。
バスルームは蛍光灯が照らす白一色のシンプルな空間だった。コンパクトではあるが、窮屈ではない点も居室同様だ。バスタブは足を伸ばせるサイズだが、アメニティは絞り込まれている。ベイシンはやや旧式のデザインだが、カランは比較的新しく、バスタブのカランにはサーモスタットを備えていて便利だった。冷蔵庫には各種ドリンクが豊富に入っていた。
館内のレストランは手ごろな価格だし、近所には多数の飲食店があって、外に出かける楽しみも豊富なので、一人ステイでも退屈することはない。観光にも出張にも都合のよいホテルだ。
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