ハイアット・リージェンシー・オーサカを利用するのは、ほぼ3年半ぶりだった。リージェンシーにしては高級感のあるダイナミックなパブリックスペースや、モノトーンのコントラストを巧みに生かした渋い客室デザインが気に入っているので、大阪を訪れる度に泊まりたいと思うのだが、如何せん場所が悪い。ホテルでのんびり過ごすことだけを目的に、休日を利用して泊まるにはいいのだが、仕事メインでアクティブに行動するには、どうしても足回りに不便を感じる。地下鉄が開業すれば、人の流れがもう少し南港にも向くのでは、いや、向いて欲しいと、ホテルも踏ん張って来たが、劇的な転機は訪れなかった。近所にあるコスモタワーは破綻の象徴のようになっているし、周辺施設には軒並み苦しさがにじみ出ている。
だが、ハイアット・リージェンシー・オーサカは、以前よりいいホテルになった。リージェンシークラブフロアのいかさまとしか言えなかった運営スタイルは取りやめたし、客にケンカを売るような意地の悪いサービスもしなくなった。エアポートホテルも真っ青の貧弱なアメニティや、いい加減な客室清掃も改めた。当たり前のことをきちんとすれば、このホテルは大層立派で魅力的なのだ。今思えば、以前があまりににもひどすぎただけなのかもしれない。
この日ホテルに到着したのは、夜遅くなってからだった。短い滞在だが、だからこそゆっくりといい時間を過ごしたかった。そういう意味では、はるばるやってきてよかったと思わせる雰囲気が、館内に一歩入った瞬間から感じられた。フロントの対応もよかった。今回で利用回数が一定に達したとかで、今日はリージェンシークラブにアップグレードされるとのこと。翌週にも予約を入れてあって、その時の方がより長く滞在できる予定なので、その時までお預けにして欲しかったが、そうも言えずにありがたくリージェンシークラブルームのキーを受け取った。
40平米の客室は、以前の印象どおり、ブラックを基調としたシックな内装が気持ちをクールダウンし、ストレスから開放してくれる。入り口のコンソールにはポプリが置かれているが、香りはすでに飛んでいた。室内はキングサイズベッドを置いても十分なゆとりがあり、リラックスできる。アールを描いた長いガラス天板は、ドレッサー、テレビ台などを兼ね、スッキリしたインテリアに透明感というアクセントを添えている。テレビは42インチプラズマディスプレイを導入し、DVDプレイヤーを備える。大型ディスプレイを導入するホテルが増えているが、ディスプレイだけ立派にしても、従来のケーブル設備のまま利用していては、高解像度画像の実力を発揮できずもったいない。
バスルームも充実している。シャワーブースを独立させ、モノトーンのコントラストだけでコーディネートした。タオルやバスローブ、アメニティも揃っている。だが、バスタブの横幅が狭いのが気になった。体格のよい外国人などは、さぞ使いにくいだろう。
夜はクラブラウンジを利用できなかったが、翌朝には出かけてみた。ラウンジ内に係がいるが、基本的にはセルフサービスで朝食を楽しめる。ラウンジ前のゲストリレーションデスクには係がいなかったので、チェックアウトはフロントで行った。日中のパブリックエリアも、グリーンの大理石が美しく映えて、ダイナミックな空間に感じられた。
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