1997.10.03
ガンバレ!
ハイアット・リージェンシー・オーサカ Junior Suite
哀-3

ハイアット・リージェンシー・オーサカは、ロビーといい客室といい非常に洗練されたデザインが施されている。特にロビーはグリーンの大理石をふんだんに使用したゴージャスな造りのホテルだ。ところがロケーションがあまりに良くないため、大阪駅付近の激戦からははみ出た存在になってしまっている。ホテルの近くに国際展示場があるので、なにかイベントが行われている時と週末はそれなりに賑わっているようだが、コンスタントに収益を上げられるような顧客層には恵まれていないように見受けられれる。

第一に展示場がらみのニーズから考えると、このホテルは立派すぎると思う。しばらくすればトンネルや地下鉄が開通して大阪市内からのアクセスが改善され、多少は利用客が増えるかもしれないが、このホテルを支えるほどかどうかは疑わしい。少々遠くてもぜひこのホテルに泊まりたいと思わせるだけの魅力は、残念ながらない。せっかくの立派な建物だから、ぜひ奮起して欲しい。

今は何しろ正念場なのか、じっと我慢をしているという感じが、滞在中いたるところから伝わってきた。いちばん驚いたのは、石鹸の質と量だった。ビジネスホテルでなければお目にかかれないような15グラムの石鹸は、広く快適なバスルームにはあまりに哀れだ。パッケージにはホテル名さえ印刷されていない。

今回利用したジュニアスイートは、各階のコーナー部分にあって、ほぼ正方形に近い形だが、コーナーをギザギザに切り込んであり、その部分は床近くまでガラス張りになっているなど、非常に凝ったデザインだ。客室はリビングを兼ねたベッドルームとバスルームからなり、ベッドルームにはダイニングテーブルとソファを兼ねた4脚の椅子、それとは別に一人掛けのソファがふたつ置かれている。

ライティングデスクはなく、ダイニングテーブルがそれを兼ねているのだろうが、円卓なので書類仕事には向かない。ベッドは大きく、真っ白なシーツが見るからに気持ち良さそうだ。雰囲気的にはパークハイアットに近いものがあるが、デザイナーは違う人だそうだ。

バスルームは窓に面しており、とても広く明るい。もちろんシャワーブースもあり、トイレには扉が設けられている。バスルームの扉を両側に開ききると、フローリング床のクローゼット兼ドレッシングルームと一体化して利用することができユニークだ。石鹸以外のアメニティーはかろうじてかつてのまま。タオルは他に類を見ないほど厚い生地で上質だ。

照明はこのクラスの客室では珍しく、プログラマブル可変調光器を備えている。照明をオフにすると、パチッと真っ暗になるのではなく、徐々に暗くなっていくところがカッコいい。カーテンは電動で、窓際のギザギザの部分をぬうようにして開閉する。

リージェンシークラブラウンジは閉鎖されているので、朝食等のサービスはレストランを利用できる。今回は朝食をルームサービスしてもらった。ゴールドパスポートのモーニングドリンクも、遅めに頼んだ朝食も時間ぴったりにサービスされた。ルームサービスの器もかなりの高級品を使用しており、開業当初の意気込みを偲ばせる。カクテルアワーには「マンハッタン・バー」を利用した。コンテンポラリーなデザインで、小ぢんまりとしており雰囲気がいいはずだが、中年の団体客が盛り上がっていて、少々騒がしかった。

このホテルでは、ドアマンがいちばん感じが悪かった。最初に出会うから、その印象は後々までひびいてしまう。車から荷物をおろしてもらっている時、倒れると困る紙袋があったので、カートのハンガー掛けを利用し、吊るして運んでくれるよう頼んだが、返事がなかった。聞こえなかったのかと思い、もう一度同じことを言ったところ、まだ返事がない。でも言われた通りにしているので、聞こえたのかと尋ねると、「聞こえています」と言われた。だったら返事をするべきだと思うが・・・

次に出会ったフロントの女性の対応も冷たい印象である上に、手違いがあった。その手違いを指摘すると、非常に不愉快そうだった。

中国料理「天空」

前回来た時は、予約を入れようにも、人気があって取れないほどだったが、今回はすんなりと利用できた。エントランスに立っている女性は、愛想がなく看守のような厳しい目でお客を睨みつけていた。案内されて席についてみると、店内はガラガラ。他に2組しかいない。それでサービス人は5人。3テーブルだけならば余裕があるはずだが、実際は情けないことにパニックになっていた。しかし、顔色ひとつ変えずに、淡々と仕事をしている。すこしくらい慌てていればこちらも理解を示せるのだが、ツンケンされているような印象だった。

料理の味は悪くないのだが、間が開き過ぎたり、タイミングが悪かったりと、料理を味わうための雰囲気をだいなしにしてしまわれたので、いい印象は残らなかった。食事中、料理に合わせて数種類のお茶が用意されたが、違う種類のお茶を、まだ前のお茶が残っている器に注ぎ足されてしまった。違う種類のお茶だということに気付かずに注いでしまったのかと思ったので、「これ、前のお茶ですよ」と言うと、「こちらは、先ほどのと同じです!」といい返された。明らかに味が違うものを同じだと言い張られても、困ってしまう。会計を頼もうにもだれひとり気付いてくれない。あまりにお粗末だった。

1997.10.03
こちらもガンバレ!
「トップオブシェラトン」神戸ベイシェラトンホテル&タワーズ
喜-3

震災後、初めての来訪だった。かつてはミシュラン三ッ星に輝く「ラ・コート・ドール」の支店として、グルメからの絶賛を浴びていた名店だったが、震災で「ラ・コート・ドール」が撤退を余儀なくされ、残った日本人スタッフのみで「トップオブシェラトン」として再開した店だ。

ラウンジ&レストランという位置付けになっていたので、かつてのような高級フレンチレストランとしてのスタイルはかなぐり捨てて、形振りかまわない店になってしまったのかと危惧をしていたが、以前と遜色ないサービスをしてくれるスタッフも残っており、また、厨房にもベルナールロワゾーの技術を受け継ぐ料理人が残っているので、随所に「ラ・コート・ドール」時代の雰囲気がうかがえる。

とはいっても、料理には溜息がでるような力強さはないし、店内に漂う空気に心地よい緊張感や品格のようなものが失われているのは残念だ。店内にピアノが置かれ、席の配置が変わった。料理重視の店から、眺望や雰囲気を重視する方向に転換したようだ。食器は一新したが、店の設え自体には変化なく、以前の素晴らしい食事を思い出しながら過ごすことができる。

Y.K.