日が暮れる頃になって、急に激しい雨が降り出した。地下鉄の階段を上がると、雨を避けるように駆け込んでくる人々とすれ違った。濡れたスーツや、急ぎ足の様子から、雨が相当なことが伺える。地上に出ると、雨だけでなく風もきつかった。地下鉄の出口から、ホテルエントランスまで、わずかな距離が遠く感じられた。
ホテルでは、丁度何か会社関係の会がはねたところだったらしく、ロビーは新橋駅前のような雰囲気だった。チェックインもにわかに行列ができ、しばらく待つことに。その際、若いベルマンは「こちらでお待ちください」と声を掛けるだけでなく、腕を客の体の前に差し出し、止まれのジェスチャーをしているのが気になった。客は整列を拒んで先を急いでいたわけではない。声を掛けるだけで十分に思った。
チェックインを済ますと、ベルマンが客室まで案内してくれた。17平米。ベッドは壁にぴったりとくっついており、いささか窮屈な印象だ。その分デスクは広く、LANを備えたデスク前の床には十分な空きスペースがあるので、部屋で作業をするには悪くない環境かもしれない。デスクのイスも、背もたれが高く、回転式なので心地よい。電話機はナイトテーブルにあるが、デスクからでも十分に手が届く位置。寝具はレギュラーフロアよりもよいものを使い、バスローブも備える。冷蔵庫は空で、ドリップコーヒーが190円で用意されている。
クローゼットは狭く、ハンガーは3本しかない。グラスやスリッパが2組用意されているところを見ると、2名で利用する場合もあるようだが、かなり手狭であることを覚悟しなくてはならない。バスルームは思ったより広く、アメニティも十分に備える。バスタブが暗いのが難点だ。ルームサービスは朝食の他、19時から24時の営業。エグゼクティブフロアの滞在客が利用できるサロンは、いつもガラガラだ。女性の係が常駐しており、デスクで集中しながらパソコンに向かっているが、後ろの鏡に映った画面を見ると、ゲームをしている最中だった。
チェックアウト時、フロントには列こそなくとも慌しそうだった。会計を済ませると、担当した係は、こちらが支度を整えるよりも早く立ち去ってしまい、とても印象が悪かった。忙しいのはわかるが、客が立ち去るのを見送るのは重要なことだ。その間、手持ち無沙汰なら、そのままの状態で差し出した明細を折りたたむなどしたらどうだろう。
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