日曜日の午後、タクシーで到着したメインエントランスに活気はなかった。若いベルたちが健康的で明るいサービスで接してくれるのが何より心地よく思われたが、エントランスのデザインにしみじみ目をやると、華やぎのない退屈な造りに見えた。アトリウムのスケール感には圧倒されるが、どことなく公共施設風の垢抜けない雰囲気だ。フロントの位置も、奥まりすぎてよくない。チェックインを担当した女性は、日ごろの鬱憤を客にぶつけることで解決しているかのような態度。どんなホテルでもフロント係の笑顔は向上しつつあるというのに、今時珍しい。
ルームタイプはスーペリアデラックスツイン。改装して間もない38平米の客室だ。前回利用した40平米のエクセレントルームよりもワンランク下だが、客室のカタチといい、レイアウトといい、こちらの方が広く感じられ、実際に使いやすかった。
この客室には入口に必ずあるはずの照明スイッチがない。扉を開けると自動的にルームライトが点灯する仕掛けだ。客室には在室センサーが付いていて、人がいなくなると自動的に消灯するように出来ている。入口部分には、鏡に囲まれたガラス棚にオブジェが飾られ、そこに照明が当たり、いい雰囲気を出している。続く室内はモダンなテイストでまとめられ、まだ真新しさが感じられて気持ちがいい。寝心地のよいベッド、賢いマッサージチェア、大きなテレビや440ch有線放送など、滞在をより快適にする設備が整えられている。
しかし、ベッドはよくてもシーツがゴワゴワしていたり、テレビプログラムが面白くなかったり、有線用の天井スピーカーの音質が軽トラのラジオ並に悪かったりと、せっかくの設備を生かしきれていない。また、デスクとは別に置かれた丸いテーブルは、高すぎて使いにくいだけでなく、せっかくの空間を殺してしまっている。小さなスツールのようなイスも、あまり役にはたたない。窓は二重になっているが、外側が非常に汚れているのも気になった。
バスルームは大理石張りで、ベイシン部分までがカーペット敷きだ。エクセレントタイプのバスルームよりも広くて快適。特にバスタブに浸かった時の視界が開けるような配置なので、実際よりも広く感じられた。せっかくのバスルームで440ch有線が聞けないのが残念だった。
ルームサービスは1000円以上でないとデリバリーしない、食器は貸し出さない、朝食は早く申し込めなどといった注意書きに、客本位ではない考え方で運営していることがにじみ出ている。部屋を新しくしたら客が来ると思ったら大間違い。アクセスは最悪、近くにコンビニもなく、都心で最も不便なホテルと言っても過言でない環境で勝ち抜くには相当の付加価値が必要だ。公共の宿ではないのだから、もう少しゲストに愛されるにはどうしたらいいのかを真剣に考えたらどうだろうか。
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