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2004.01.24.(土)

ホテルニューオータニ幕張 Superior Room
Hotel New Otani Makuhari
哀-2 シーツの皺
エレベータホール前のサービスステーション
ホテルニューオータニ幕張は、いくつものホテルがひしめく幕張の中で比べればもちろんだが、日本の都市ホテル水準と照らし合わせても、充実した設備を誇っている。だが滞在の度に、なにか感覚のズレのようなものを感じてしっくりと来ない。どちらがおかしいのか定かなことはわからないが、我々の相性が悪いことは確かなようだ。

フロントに立つのは主に女性のスタッフだった。ニューオータニはどこでもそうだが、みんな一様に濃い化粧をして、いつでも百貨店のエレベータガールに転身できそうな雰囲気がある。そつなく仕事をこなし、丁寧で感じよさそうに振舞っていながらも、冷たい本性が端々に見え隠れするのが気になる。

この日はメインエントランスを入ったすぐの場所にある大きなフラワーアレンジメントの下に、4箇所の盛塩があった。駐車場からも夥しい盛塩が目に付いていたが、それ以外にもあちこちに見られる。割烹店の軒先にちょこんとある程度なら清らかな印象もあるが、これは行き過ぎていてちょっとブキミだ。

客室は高層階のスーペリアルームを利用した。18階から23階までの海側客室は出窓になっており、下の階より4平米ほど広くなっている。そのうち21階から23階にはスイートが集中しているので、エレベータホールや廊下の設えが一層豪華にできている。40平米の客室には、一般客室としてはかなりの気合と予算を投じたことが随所にうかがえ、なかなかよくできた部屋という印象。一方で、なぜこうするかな?という不便な部分も散見された。基本が秀逸なだけに、マイナス面が痛い客室だった。

客室に入ったところは、大理石とフローリングを使った床と、ハロゲンライトの当たるコンソールがあり、まるでスイートのエントランスのような質感の高い空間だ。照明を組み込んだ立派な棚にグラスやミニボトルを並べ、ウェットのミニバーを備えている辺りも演出力の高さをうかがわせる。ウォークインが可能なクローゼットがあり、室内の豊富な引き出しとあわせて、収納スペースは十分ながら、ハンガーがとても少なかった。

引き戸になった内扉を開いて居室に進むと、ワイドな出窓から望むベイサイドの景観に目を奪われる。視点によっては海しか見えない、開放感あふれる環境に、シティリゾートという言葉がよく似合うことが実感できた。しかし窓ガラスは、潮風の影響だろうか、泥水を吹きかけたのかと思うような白濁した汚れが視界を曇らせていた。

インテリアは明るいホワイト系を基調に、落ち着いた配色をアクセントにして、端正で引き締まった印象を与えている。ファブリックも上質で、天井やヘッドボード、壁のコーナーなどの意匠まで、細部にわたって吟味している。

ベッドは130センチ幅のセミダブルが2台。真っ白いデュベカバーで仕上げ、ターンダウンなしですぐにベッドが使えるようになっている。ナイトテーブルにはBGMやパワーカーテンのスイッチもあるが、室内照明のスイッチをオフにすると、入口灯やミニバー、ドレッサー、室内の照明まで、ナイトランプ以外のすべての照明が一緒に消えてしまう。室内照明には、ハロゲンのダウンライトの他、一部に蛍光灯も用いられていて点灯すると非常に明るいのだが、全部点けるか全部消すか、どちらかにしかできないのは不便だった。また、室内でくつろいでいるといきなり室内の電源がすべて消えたり、就寝中に寝返りを打ったらいきなり部屋中の照明が点灯したりと、在室センサーがしばしば誤作動するのには参った。

テレビは大型だが、CS放送などのチャンネルは充実していない。LANは3日まで1,050円で利用できる。デスクは対面式だが、ダイニングテーブルとして使うには小さすぎる。カウチ風のソファはくつろいだ雰囲気にはピッタリだった。

バスルームは総大理石造りで、とても広く取られている。ベイシンにはテレビを備えるが、バスタブやトイレから見ることはできない。バスタブは奥の壁を向いて設置されているが、逆にベイシン方向を向けて設置すれば、もう少し閉塞感を緩和できたと思う。シャワーブースは広く、水圧も十分だった。アメニティは充実しているが、備えてあるグラスが「消毒済」の袋に入っているにもかかわらず汚れていた。タオルは3サイズ3枚ずつ。バスローブも備える。

夜、眠ろうと思って掛け布団をめくったら、シーツがひどくシワシワだった。しかも中央に集中して縦皺が寄り、髪の毛まで絡まっている上、足元などかなり乱れている。このホテルのベッドメイクはみんなこうなのかと思い、もう一方のベッドをめくってみると、こちらは湿度で若干表面がうねっているものの、さほど皺はなかった。シーツのプレスの加減かもしれないが、ピローケースは皺ひとつなくきっちりプレスされていた。何かの拍子に使用済みのシーツのままベッドメイクしてしまったのではないかと思えるほどだった。

とにかく気になったので客室係のマネジャーを呼んで見てもらったら、低姿勢で詫び、新しいシーツを使って自らベッドメイクをやり直してくれた。シーツがどうであったか、真実はわからなかったが、潔い態度と丁寧な仕事振りに、むしろ好感を持ったほどだった。

翌日の朝食は「千羽鶴」で。日本料理店なのに、スタッフがみなビストロのギャルソンのようなユニフォームなのが面白かった。彼らはこの店のスタッフではなく他のレストランとの兼務で、朝はイレギュラーなメンバーでサービスしているのかもしれない。ホテルの朝食としてオーソドックスなものだったが、ゆったりとした雰囲気のなか美味しく食べられた。

午後にはロビーラウンジでお茶を飲んで一息入れたが、同時にデザートブッフェもやっているので混雑している。ゆっくりと心穏やかに過ごせる場所が館内には皆無だ。ロビーにしても、ちょっと座って行き交う人を眺めてみたり、ホテルらしい空気を感じてみたりという具合に、雰囲気そのものを楽しめるような場所がまったくなかった。ロビーにいても、銀行で番号札を取って順番を待っているのと同じくらい落ち着かない。ゴージャズな造りなのに、ココロにフィットしないホテルだ。

広い出窓がサンルームのような役割を果たす 真っ白いデュベカバーで仕上げたベッド

ベッド脇の壁はすっきりしているが寂しい もう一方の壁にはアーモアと十分な引き出し

対面式のデスク カウチ風のソファ

ドレッサーの円形ミラー 窓から眺める朝日

ミニバーの棚は立派 エントランス付近の床は石とフローリングで凝った意匠

大理石仕上げのバスルーム入口付近に配置されたベイシン バスタブ

シャワーブースとトイレ バスタブとシャワーブースは近い

アメニティ バスタブやトイレからは見えないベイシンのテレビ

フロント メインロビー

21階エレベータホール ユニークな照明器具

メインロビーのシャンデリア こちらの照明もユニークだ

[ホテルニューオータニ幕張] 960212 960929

Y.K.