1996.09.29
豪華絢爛
ホテルニューオータニ幕張 Bay Suite
楽-3

リビングのソファ

このホテルのトップスイートには「花鳥」と「雅」という名が冠されており、内部は相当に絢爛豪華であろうかと想像されるが、「プレジデンシャルスイート」とか「ロイヤルスイート」という名称と比較すると、格調高さを通り越して少々成り金趣味が入っているように感じられる。「花鳥」や「雅」に次ぐスイートは「マリブスイート」と名付けられており、前者に比べてリゾートホテルらしいネーミングだといえる。その次のランクが「ベイスイート」で、上層階のコーナーに位置している。

これらスイートがあるフロアは、エレベータホールから廊下に至るまで、一般階にかなりの差をつけた内装に仕上がっている。一般階にも、外から見て出窓になっている階と、それ以下の階では、内装に著しい差があるが、スイートの階はひときわ豪華だ。この日もホテルはひっそりとしており、スムースにチェックインが行われ、ベルマンによって部屋に案内された。

客室の扉を入ると斜めに折れたフローリングの前室があり、左側には照明がとても美しいゲスト用化粧室が、右側にはゲスト用クローゼットがある。ベルマンはまだ研修中らしく、この部屋の構造をまったく理解していなかったのか、この小さなゲスト用クローゼットにすべての荷物を無理やり押し込んで出ていった。開けてみてびっくり、すし詰め状態で、見て笑ってしまった。

前室から両開きのスライディングドアを開けると、リビングルームがあり、大型のソファセット、ライティングテーブル&チェアが設置されている。さまざまなデザインの椅子があるので、気分で座り分けるのも楽しい。壁に備え付けられた収納家具には、大型のテレビ、オーディオセット、ミニバーが設えられているほか、ファクシミリやコードレスホン、カメラ付きインターホンも用意されている。自在の照明と観葉植物がくつろいだ雰囲気を演出する手助けをし、1メートルほどせり出した出窓からは、ダイナミックな景色が広がっている。

リビングルームからさらに両開きのスライディングドアを開けるとベッドルームがあり、大きなベッドが2台とオットマン付きソファとコーヒーテーブル&チェアが配置されて、こちらにも大型テレビがある。寝室の窓はワイドだが出窓ではない。寝室の奥には寝室と同程度の面積を割いたバスルームがある。

入ったところは、フローリングでドレッシングルームを兼ねており、ワイドなドレッサーとエアロバイクが置かれている。右の扉を開けるとウォークインクローゼットで、同じくフローリング仕上げになっており、L字の広々としたハンガーレールがあり、靴棚にはシューキーパーの用意もある。ハンガーレールの下の部分は引き出しがたくさんあって便利だ。

左側の両開きスライディングドアの向こうは総大理石張りのバスで、ダブルベイシン、窓がついた大きなブロアバス広いシャワーブースがある。トイレの前には大理石のテーブルがあり、生花がアレンジされている。設備的にはあって欲しいと思うものはすべて用意されているといってもいいくらいで、12万円の客室としては、もっとも内容の充実している部屋のひとつだ。

インテリアの色使いやファブリックの柄などは、和のテイストを取り入れたきらびやかな印象だが、100平米近いゆとりのスペースにあるので、嫌みな感じはしない。また、各所に扉が多く、実に8個所にわたって人が往来できる扉があるのも高級感につながっている。ところが、サービスに関してはナイナイづくしだ。ターンダウンありません、コンセルジュありません、24時間ルームサービスありません、オーバーナイトランドリーありません。これではリゾートホテルとしての機能しか網羅しておらず、ビジネスでの需要を獲得するのは難しいだろう。

また、隣接のスポーツクラブは大変立派な施設だが、総合利用料10,000円はいかがなものか。まるで使うなといわんばかりの価格設定に感じた。翌朝の朝食はルームサービスにしたが、味はフツウ、サービスは標準的でそれなりに満足だった。

リビングからベッドルームを見る バスルーム

Y.K.