2003年12月11日
	リーガロイヤルホテル　Corner Suite
	喜-４　もてなし上手
	公演を終えてホテルに到着したのは午後10時を過ぎていたが、メインロビーにはまだ活気があり、ホテルらしい華やぎのある雰囲気に満ちていた。ベルマンにプレジデンシャルタワーズを予約している旨を告げると、フロントを素通りして２３階の専用カウンターに直接案内された。エレベータを降りるとヘッドバトラーが恭しく出迎え、フロントでの手続きも簡単に終了した。 遅い時間の到着だったため、ラウンジやライブラリはすでに終了しており、夜の利用はできなかった。部屋に案内される途中、自由に使えるフィットネスルームの説明があり、客室に着くとウェルカムドリンクを勧められた。とりわけ喉が渇いていたのでミネラルウォーターを頼み、部屋の様子を見て回った。テーブルにはフルーツ、菓子、フラワーアレンジメントが用意され、明るい雰囲気の客室を一層賑やかに見せていた。 全体で60平米の広さがあるワンルームタイプのスイートだが、入口付近やバスルームに面積を割いているので、居室部分はさほど広いという印象はない。せいぜいふたりで過ごすのに持て余すことのないスペースだ。ブルー系のファブリックを中心に、思い切った色使いのコーディネートをしており、爽やかでフレッシュなイメージがある。広いデスクとＬ字のソファからなるリビングスペースと、ハリウッドスタイルにベッドを並べたベッドスペースからなり、それらは簡単に仕切られるだけで、ほとんど一体化した造りだ。ベッドサイドには観葉植物とともに、空気清浄機が置かれており、寝具の心地よさも格別だった。 部屋の中央には、充実したＡＶ装置が集約されている。高価なＣＤプレイヤーや大型ディスプレイ、ＤＶＤプレイヤーを備え、客室で映像や音楽を楽しみながら思い思いの時間を過ごすには最適だ。欲を言えば、ＤＶＤの音声はディスプレイ付帯のスピーカーではなく、バング＆オルフセンのシステムに入力して聞きたかった。カーテンは電動。全体にユニークで凝った意匠が目立つが、質感そのものはさほど高くない。照明が明るい分、どうしてもチープに見えてしまうのが残念だった。 バスルームも明るかった。御影石、大理石、モザイクタイルを組み合わせ、シックな中にも遊びのある内装に仕上げた。ベイシン部分とバスタブのあるスペースは重くしっかりとしたガラス扉で仕切られており、バスタブ脇は広い洗い場になっている。洗い場には、よく温泉大浴場で見かけるようなカランに、桶や椅子が用意され、まさしく和風浴室の趣き。バスタブはブロアバスだが、この客室のはどういうわけか作動せずに残念だった。給湯カランも消音設計が施され、湯を溢れさせられるバスタブなど、細部にまで工夫が感じられる。タオルを巻いたバスタブ用ピローも快適だった。 タオルは十分に用意され、バスタオルが非常に大型サイズなのがありがたい。アメニティも充実しており、入浴剤だけでも6種が用意されている。トイレはバスルームから完全に独立している。 ここプレジデンシャルタワーズで最大の魅力はサービスだ。こちらが沈黙していても何でもしてくれるような王様向けサービスではないが、ひとたびリクエストとして口にしたことはきちんと対処してくれ、ビジネスサポートとしても有能だ。しかも、明るく積極的にウェルカムムードの中やってくれるのがうれしい。こうしたサービスには24時間対応できるよう、専用フロントは24時間係が常駐している。 ラウンジでの朝食も素晴らしかった。ヘッドバトラーが自らサービスに当たり、客たちと会話を楽しんでいるのが印象的だった。見るからに新鮮そうなサラダ、焼くと香ばしいイングリッシュマフィン、和食のおかずも数々揃って、品数もクオリティも申し分ない。盛り付けも美しかった。ただ、コーヒーまでも基本的にはセルフサービス。たまに気を利かせて運んできてくれるが。 出発時もマネージャーが正面玄関まで見送ってくれた。到着から出発までわずか12時間ほどだったが、歓迎され、大切に扱われているという実感があった。もてなし上手なサービスは、伝統的な日本のスタイルとも、海外の洗練とも取れる卓越したもの。非常に気分のいい滞在だった。
	[リーガロイヤルホテル] 960330 010820