雪が静かに舞う札幌の街はロマンチックだった。今回は千歳に降り立ってから、まずはニドムに立ち寄り、わずかな時間ながら演奏を披露した。その後、ニドムの車で札幌まで送ってもらったので、道に迷うこともなかったし、危うく転びそうになることもなく、無事にホテルへ到着した。しかし、高速道は順調に走行してきたものの、市街地に近づいてからは渋滞にはまり、インターから1時間近くを要した。車内は気を利かせてくれたのだろう、空調の具合が暖かいを超えて気分が悪くなるほど暑く、ちょっと酔ってしまった。ホテルは見えているのに、一方通行でなかなか近づけず、札幌で車の生活をするのも大変なんだろうなと思った。
到着後、まずは客室で荷解きをし、すぐに打ち合わせのため1階のコーヒーショップへ向かった。まだ頭がフラフラしていたので、一瞬ホテルの外へ出て、顔を冷やしてから店に入った。冷たい空気がなんとも心地よかった。店ではデザートブッフェを開催しており、その場の雰囲気でそれを楽しむことに。軽食としても十分な内容のブッフェは、バラエティも豊富で魅力的だったが、気分も優れないし、演奏会を控えていたので満喫する余裕がなかった。
今回で2度目の札幌グランドホテルだが、前回同様に本館8階のスーペリアフロアのシングルルームを用意された。客室そのものは、前回よりも狭いタイプだったが、ベッドサイズや設備などには大きな差はなかった。多少狭くなっても、旧北海道庁舎を横目に眺められる景色の方に価値を感じた。
ベッドは140センチ幅。壁に寄り添っているので、ベッドから窓までにはゆとりがある。ナイトテーブルを挟んでソファがあり、その前に四角いテーブルが置かれている。反対の壁に向かって、荷物台、デスク、テレビ台が並んでいるが、それぞれは独立した家具だ。デスクの椅子には背もたれがない。丸いミラーが室内を優しく切り取り、やわらかい雰囲気を作り出している。
照明はスタンド3箇所の他にシーリングライトを設けており、十分に明るい。空調の噴出し口が窓際の腰にあるので、寝ている時に直接体に当たることがなくていい。ナイトウエアは浴衣でなくワンピーススタイルのものを用意している。非常灯が荷物台の下にあるのが、わかりにくいと感じた。バスルームは3平米程度のタイル張り空間。タオルは3サイズを2枚ずつ揃え、BGMを聞くことも可能だ。アメニティも一通り揃っている。
サービスは総じてフレンドリーで親切だった。パブリックスペースには風格とともに清潔感があり、人の往来を眺めるもの楽しい空間。ベルアテンダントたちのベレー帽が印象的だった。
ディナーショー終演後は、主催者よりすすきのの「旬彩 加我」という店に招かれた。ビルの中にある日本料理店だが、非常に気の利いた料理を出してくれた。味も素晴らしいが、女将の気遣いも卓越していた。とりわけ寿司が旨かった。
|