階下から26階のロビーに至るエレベータは3基。26階で降り立ち、唯一のエントランスを通りロビーに入る際、そこには必ず係が立っていて、訪れる人に挨拶をする。用のない人がむやみには立ち入れない造りになっており、ホテルにとってはゲストの動向も把握しやすい。そのエレベータの上の空間に位置する客室は、1フロアにひとつしかないユニークなレイアウトが特徴だ。客室カテゴリーはモデレートデラックスだが、他の同タイプの客室とは随分と違っている。室内は奥行きの長い構造で、窓が客室の縦の線に対して斜めについている。窓際に広々としたリビングスペースを持ち、壁に沿って湾曲したカウチ状のソファを備える。しかし、このソファからはテレビを見ることが出来ないし、向かい合ったソファから見るにも、画面が小さい上に距離があって見にくい。
窓からの眺めは悪くないが、左半分には隣接するビルの壁がそそり立っている。その壁に音が反射するのか、駅の発車メロディや橋を渡る電車の音がやたらと響いて騒々しい。特にこの日は雨だったから一層なのかもしれない。
ベッドやデスク回りの設備は、他の客室と同等だが、バスルームはやや見劣りした。いわゆるホテルスタイルのユニットバスで、このホテルの魅力でもあるシャワースペースを持たない造りだ。扉は引き戸で洒落ており、ベイシントップには左右に広い一枚のガラス板を使って特徴を出している。全体に石をふんだんに使っているが、照明が平板で洗練された雰囲気には至っていない。また、やたらと明るいので、明るさを調節する機能があればいいと感じた。バスルームの天井が240センチと高いのはいいが、バスタブでシャワーカーテンを引いてしまうと、全体が広い分、一層窮屈さが際立ってしまう。
この客室のエントランス部分には、デッドスペースがある。壁の一部は姿見の役を果たす大きな鏡になっているが、その部分がやたらと暗くて片手落ちだ。ターンダウンは非常によく行なわれていた。一度頼んだことは、次回にもきちんと反映されている。しかし、相変わらず窓ガラスやテーブルなど、ガラス部分が汚れていた。
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