いつもながら歓迎ムードたっぷりの出迎えがあり、チェックインもサインのみでスムーズに終えることができた。今回用意された客室はモデレートカテゴリーのデラックスツインルームだった。モデレートは4方にある客室のうち3方を占めるが、その向きによって眺めには大きな差がある。客室番号30番から35番までの列は正面にビルが立ちはだかり、眺めの良さには期待できない。1番から8番までの列も視界にビルが入るが、それほど悪い眺めではない。最も眺めがよいのは9番から11番のプレミアルームと、12番から18番までの客室だろう。視界を遮るものが少なく、品川駅越しに都心の夜景を一望でき、東京タワーも見える。だが、低層階ほど電車の音が気になり、部屋によってはホームの発車ベルなども聞こえてしまう。今回は31階だったので、騒音が不快に感じられることはなかった。
デラックスルームはプレミアルームに比べると窓が小さく、開放感に乏しいような気がするが、天井高は3メートルと高く、レイアウトがすっきりしているので、プレミアルームよりもむしろ使い勝手はいいかもしれない。心地よいベッドにはクッションやブランケットが載っていて、日中にくつろぐのに便利だ。窓際のペアシートは一人で寝そべればカウチにも使える。素材の違う壁紙を使い分けて客室内の雰囲気に変化を持たせたり、観葉植物やオブジェをアクセントにするなど、上質な客室作りに成功している。照明効果も高い。
しかし、デスク周辺の収納が少ないことやテレビが小さいなど、細かいところであと一歩という印象もあった。また、客室の清掃も、概ねよくできているのだが、窓が汚れたまま、TVリモコンがベトベト、ナイトテーブルにも拭き残しがあるなど、初歩的なところで行き届かない傾向がある。極めて端正な部分が感じ取れるだけに、残念なことだ。また、この日はベッドの下にミイラ化したケーキが落ちていた。
クラブカテゴリーとの差は、ミニバーが有料(シャンパン1500円、ソフトドリンク300円など)、アメニティ(ボディローションやスクラブタオルなど)、グラスやカップ&ソーサーの質や数、オーディオ(これはリクエストすればモデレートでも貸してもらえる)、ヘルスメーターやバスタブの枕、アクセサリーケースなどがあるかないか、コーヒーがドリップがインスタントか、ランドリー袋が布かビニールかなど、たいした差ではないので、開業当時の気合の入った差別化はいずれ成り立たなくなり、徐々に曖昧になってゆくような気がする。
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