チェックイン時、フロントには行列が出来ており、銀行のキャッシュディスペンサーのように、一列に並ばされて順番を待った。待ちながら周囲を眺めていると、レジストレーションカードを後方のカウンターで記入してからフロントへとの案内が目に入ったので、一度列から離れて記入してから並びなおした。ところが、その間に新たに列に並んだ人たちは、あらかじめ記入することはせず、結局カウンターで書いていた。正直者がバカを見る仕組みになってしまっているので、せめて混雑時だけでも列の最後尾に係がついて案内をすべきではないかと思った。
やっと順番が回ってきて、手続きの際に禁煙ルームをリクエストしたが、すでにふさがっており、用意できないと断られた。諦めてルームキーを受け取ると、客室としては最も低層にあたる3階の客室だった。高層ホテルで3階というと、なんだか寂しい気もしたが仕方がない。エレベータを3階で降りると、宴会場と直接つながっているためか、かなりざわざわとしていた。
上層階は円筒形のフォルムにあわせて、客室がぐるりと配置されているが、3階は一部分にしか客室がない。きわめて条件の悪い運転手部屋じゃないかと思ったが、部屋に入ってみると、上層階の客室よりも窓がはるかに高く取ってあり、これはこれで珍しくていいという気になった。ただ、宴会の客が大声をだすわ、交通量の多い道路が多いわ、エレベータに近いわで、騒音三重苦に耐える必要があった。
コンパクトな室内は、狭いスペースを広く使える工夫が凝らされているが、すべてのものが最小限の大きさに抑えられている。数着しか入らないクローゼット、110センチ幅のシングルベッドとひとつだけしかない枕、空で小さな冷蔵庫などがコンセプトを物語っている。収納スペースが限られており、長期の滞在には厳しいかもしれない。ベッドを小さくした分、デスク回りはゆとりがある。壁から独立したデスクとチェアのほかに、もうひとつアームチェアが用意されているが、椅子は兼用にしてでも、もう少しベッドの幅が広いほうがうれしいのではないかと思った。金庫はあるが、LANはない。部屋の天井高は235センチで、他のフロアと変わらないが、窓際に行って見上げると、窓が天井よりも高く取られいるのがわかる。
バスルームは寝台列車や船を思わせる造りで、独特の形状をしている。腰掛けのある面白いカタチのバスタブ、壁や天井にカーブのある構造などがユニークだ。アメニティは最小限で、最近充実しつつあるビジネスホテルよりも乏しい用意だった。壁の水滴跡が気になったので、タオルでひと拭きしたところ、タオルが真っ黒になってしまった。これは汚れというよりは、うっすらと繁ったカビではないかと思われる。
かつてはランドリーのエキスプレスサービスがあったが、廃止されてしまった。客室に湯沸しポットはなく、廊下の給湯器に取りに行かなくてはならない。氷は100円で販売している。ベルはいるにはいるが、ほとんど宅配便係と化しており、ベルの役を果たしているようには見えなかった。駐車場は24時間1,000円。
このように最小限にとどめたサービス内容では、サービス料の意味がますます理解できない。ビジネスホテルではサービス料を取らないところが増えてきたのだから、見習ってほしいもの。かつてコンビニエンスショップだったところを自販機コーナーにして、ロビーの一角にはデリカテッセンやベーカリーを兼ねたショップを、丁度この日にオープンさせた。ヨコハマ土産なども扱うこの店は、終日多くのゲストで賑わっていた。一方でプリンスペペは閑古鳥。地階の食料品店だけは活気があった。各ホテルレストランも雰囲気のわりに割高感があり、利用する気にはなれなかった。
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