新潟県村杉温泉の長生館で開催された神田将&新田昌弘コンサートが盛会に終わりましたことをご報告します。
長生館では、毎年この季節に採れたての山菜料理の賞味会「山菜の集い」が開催されており、これまでも何度かこのイベントのゲストとしてお招きいただきました。
昨年も新田昌弘さんとのジョイントでお届けしましたが、大好評だったとのことで、今年もまた声を掛けて下さいました。
2年連続ですと、同じプログラムというわけにはいかず、ふたりでのアンサンブルレパートリーを大幅に増やす必要があります。
ところが、互いに会う時間が取れず、メールや電話で選曲や編曲の相談を繰り返します。
預かった音源をもとに、TANEちゃんと協力して急ピッチで準備を進めるつもりが、TANEちゃんとも会う時間が取れず、やりとりはメールとFAXだけ。
結局、昌弘さんともTANEちゃんとも顔を合わせることなく、新潟入りした前日になって、初めて昌弘さんと合わせをすることができました。
私もできる限りの準備を済ませておきましたが、今回のようなスタイルだと、実際に合わせてみなければわからない点の方が多いので、前日の合わせだけで、納得のいく仕上がりまで漕ぎつけるかが心配でした。
でも、合わせてみたら、成果は上々。
昌弘さんも「気持ちいい」と喜んでくれたので、やっと安心して本番を迎えることができるようになりました。
いよいよ当日・・・
音響のセッティングが終わったところで、早速、最初で最後のランスルー。
それも、互いのソロはもう済んだことにして、アンサンブルを重点的に行いました。
昌弘さんとのアンサンブルは、バンド的なアプローチが必要で、互いにアドリブを回しあったり、掛け合いをしたり、相手の盛り上がり具合を見計らいながら加わっていくなど、その時のフィーリングで演奏する部分が多く、普段の私の演奏スタイルとは大きく異なります。
いくらリハーサルを重ねても、「こればっかりは本番をやってみないとわからない」という気持ちが強まるばかりで、自分を信じて覚悟を決めるしかありません。
こうなったら、あとは楽しむだけです。
リハーサルを終えると、ちょうど長生館の見事な庭に日が差していたので、カメラを持って散歩に出てみました。
木漏れ日や、様々な色の新緑や花々、苔や岩肌など、まるであらゆる色彩と輝きのオーケストラであり、美の宝庫です。ここで新鮮な空気をたっぷり深呼吸したので、清々しい気持ちでステージに立てそうです。
皆さんが山菜料理を召し上がっている間、控室にいるのも退屈だったので、会場の隅の方で様子をうかがっていました。
料理もまた、毎年同じというわけにもいかず、新しい工夫が数多く見られます。
そのうちのひとつが、お客様の目の前で揚げたてを提供する山菜天ぷら。ゴマ油とフレッシュな山菜独特の香りが漂い、食欲をそそります。
テーブルは何十種類もの山菜を使った料理で埋め尽くされ、見るからに自然そのもので健康的です。
食事がひと段落ついたところで、いよいよコンサート開始。
まずは昌弘さんが和装で登場し、津軽じょんから節、あいや節を披露。
凛々しい和装と、少年のような語り口が対照的で、たちまちおばさま方のハートをつかみます。
続いて私がソロを演奏。昼と夜とで曲目に変化をつけました。
昌弘さんは26歳。本物の20代と並べば、実年齢よりいくらか若く見える私でもただのおっさんです。もうこうなったら、オトナの魅力で悩殺するしかありませんので、いつも以上に落ち着いた振舞いを心がけました。
引き続き、アンサンブル。
私のソロがクラシック続きでしたので、昌弘さんとのセッション前に、瞬時に気分を入れ替えます。
気分をセッションモードにスイッチしたら、あとは、三味線の魅力を最大限活かしながら、エレクトーンならではの方法で支えていきます。
シンプルな曲、ダイナミックな曲、よく知られた曲などをちりばめ、フィナーレには三味線とオーケストラのコンチェルトに、「和のロック」的なニュアンスを加えた昌弘さんのオリジナル曲「奏」でバトルしました。
大女将さん、若女将さんに花束をいただき、続いてのアンコールでは、童謡「鞠と殿様」を、これまたスリリングでフリーなセッションに。
私は弦楽と和太鼓の役で、和太鼓のアドリブがとても気持ちよかったです。この時ばかりはエレクトーンが完全に打楽器に変わっていました。
盛り上がったコンサートは、60分の予定が90分に。お客様も実によく乗ってくれました。
若さあふれる昌弘さんと昼夜2回の公演で、私の体力が持つかが心配でしたが、まだまだいける!と自信を新たにしました。
これからもタフであり続けたいものです。