今年の9月15日に開業30周年を迎えるハイアットリージェンシー東京。
ホテルセンチュリーハイアットという名称で開業し、ヨーロッパの貴婦人を思わせる優雅な雰囲気を持ったホテルとして、当時はあらゆる女性の憧れでもありました。
それが今では改装を経てすっかり雰囲気が変わり、モダンで都会的なホテルとなりましたが、ロビーにきらめく3基のシャンデリアは健在で、名だたるラグジュアリーホテルが出揃った今なお、東京で最も壮麗なホテルロビーです。
そのロビーに面したカジュアルなレストランが「カフェ」。
かつては同じ場所に「ブーローニュ」というレストランがありましたが、昨年の改装を経て、現在の「カフェ」に生まれ変わりました。
窓の外に広がる新宿公園の樹々をパリ郊外のブーローニュの森に見立てた以前の店名も好きでしたが、今の内装も度が過ぎるほどにナチュラルな素材、度が過ぎるほどに遊び心ある装飾に囲まれ、カジュアルな雰囲気の中、軽井沢や八ヶ岳の高原にでもいるような、爽やかな気分で食事ができて、これはこれでいいと思います。
ただ、内装は見るからに清掃がしにくそうで、実際、照明器具は曇り、あちこちに埃が積っています。
しかし、これを清潔に保とうと思ったら、毎日が年末の大掃除になってしまいますし、中途半端に手を出したら、汚れた部分が一層目立ち、かえって悲惨なことになるでしょう。
単純にデザインとして見ればとても意欲的でいいのですが、飲食店、しかもホテル内店舗であることを考えれば、もっとメンテナンスのしやすいデザインであるべきです。
さて、この店はこれまで何度となく、まさにファミレス感覚で利用しており、週末はブッフェ、平日はアラカルトを楽しむパターンがお気に入りですが、今回はホテル開業30周年とレストランリニューアル1周年を記念したコースメニューを注文してみました。
この店は、ホテルのオールデイダイニングとしての役割を維持しながら、イタリアンを基本とした創作的な料理をメニューに取り入れています。
また、このホテルにはロビーラウンジがないため、喫茶利用にも対応するなど、一日中賑わっています。
ランチの記念コースは3皿構成。
前菜、主菜、それぞれ3種類の料理からチョイスすることができます。
それにパン、ドルチェ盛り合わせ、コーヒーまたは紅茶が付きます。
今回チョイスしたのは、
パルマ産生ハムを巻いた海老のプランシャ焼 白いんげん豆とトマト
鴨もも肉 パンチェッタ ウイキョウの香り
海老はぷりぷりの歯ごたえがあり、真空調理された鴨は骨ギリギリまでしっかり柔らかくなっていました。
高級リストランテで出しても違和感のない出来栄えに大満足です。
ドルチェはボックスで運ばれてきました。
見た目にはどうということなく感じたのですが、小さいながらにひと品ごとの味わいがしっかりとしており、何気なく口に運んでから、心の中で「これは失礼しました」とつぶやいてしまったほどです。
これで3,300円はとてもお値打ちです。
店が混雑しているので、やや落ち着かない雰囲気ではありますが、サービスは安定しており、友人などとの楽しい食事には大変お勧めです。
(こちらのコースは9月30日まで提供されていますが、メニューは7月1日から新しくなるようです。)