11人のパーソナルレッスン

好天に恵まれた日曜日。私はほぼ終日、スタジオ内でプライベートレッスンをしていました。

この日だけで11人に稽古をつけましたが、その全員が初対面。
毎日レッスンをしている先生方なら、日に11人の生徒を見ることは少しも珍しくないでしょうけれど、あまりレッスンに慣れていない私にとっては、なかなか手応えのある経験でした。

対象は小学生低学年から中学生までで、全員がコンクールにエントリーしていて、目前に迫った大会に向けた総仕上げをするというのが、今回のレッスンの主目的です。

11人とも、年齢も、キャリアも、性格も、選曲も、実にさまざま。
限られた時間内、しかも1回だけのレッスンで、劇的な成果をあげることが、私に課せられたミッションです。

結果からいえば、ミッションは成功でした。
いくら言葉巧みにアドバイスしても、それを理解し即座に実践してくれなければのれんに腕押しですが、これには受講生たち優れた勘が大きく功を奏しました。

朝から晩まで、私は子供たちの傍らにピッタリ寄り添い、ほぼ常に大音量の演奏を凌ぐ大声を張り上げながら、汗だくで踊り狂っているのですが、最初は怪訝そうに見ている子供たちも、次第にそのノリに感化されていきます。

コンクールにエントリーするほどの子たちですから、もともと見事な演奏をするのですが、それがひときわ艶を増し、みるみる輝きだす様子をまのあたりにするのは、まるで奇跡に遭遇するような喜びです。

全員のレッスンが終わる頃には、声が枯れ果ててしまいますが、不思議と疲労感はありません。これは学校巡回コンサートの時にとてもよく似た感覚です。おそらく子供たちから尽きない泉のように湧き上がるエネルギーが、私の中にも流れ込んでいるからでしょう。

今日もまた、昨日より少し若返ったような気がします。
実は、これが私のアンチエイジングなのです。