2009年、私が長い間夢見ていた国際芸術祭への参加は、中国上海国際芸術祭で現実のものとなりました。写真は、昨年の演奏会場に設置された大看板の前で、両親と記念撮影したものです。
中国上海国際芸術祭は、毎年世界中から優れた芸術が招聘され、1ヶ月の会期中、上海市内のあちこちで連日素晴らしいパフォーマンスが繰り広げられる、中国国家の催しです。
昨年はヨーヨー・マさん、五嶋みどりさん、ギドン・クレーメル楽団など、スーパースターたちが顔をそろえる中、私もエントリーさせてもらうことができ、これをきっかけにまたひとつステップアップできたという実感が得られました。
エレクトーンが国際芸術祭の正式なプログラムに選ばれたのも、これが史上初めてのことでしたし、上海の皆さんが見慣れない楽器と無名の演奏家を温かく迎えてくれたことにも深い感銘を受けたのを、昨日のことのように思い出します。
今年もまた中国上海芸術祭にエントリーしたいという私の思いは、昨年の帰国直後からアピールしてましたが、今年は万博が開催されることもあって、上海は空前のイベントラッシュ。強力なスポンサーやコネのない私が入り込む余地はもはや残されていないという雰囲気があり、今回は断念するしかないと思っていました。
それでも私は粘りました。私は個人の利益のために出演を望んでいるのではなく、これから世界に羽ばたいていく中国の若者たちに、伝統を重んじる感性と新時代のテクノロジーが融合した日本ならではの芸術を知ってもらい、文化への関心を高めて欲しいというのが率直な気持ちであることを、芸術祭の事務局に何度も伝えました。
これは昨年のコンサートの一環として行った上海師範大学内でのキャンパスコンサートで私が得た実感による発想で、単なるたてまえではありません。キャンパスコンサートで、中国の若者が見せた反応は「本物」でした。私が想像していたより、はるかに芸術に敏感で感性豊かな学生たちには、私の方が驚かされました。
そこで、私は一般向けのコンサートよりも、こうしたキャンパス内での演奏会を中心に行う「上海キャンパスツアー」を提案したところ、芸術祭サイドも私の純粋な気持ちと熱意をくみ取って、今年もエントリーしてくれることになったと、ついさきほど連絡がありました。
今年もまた国際親善や芸術の振興にささやかながら貢献できるチャンスをいただき、とても嬉しく思います。こうしたチャンスに恵まれるのも、日ごろから応援してくれる皆さんの支えがあってのことです。本当にありがとうございます。
日程はこれから詰めて行きますが、おそらく「せんくら」やリサイタルの前後に近接したスケジュールになることと思います。詳しく決まりましたらご報告します。