赤坂 at ANAインターコンチネンタルホテル東京

梅雨明けした東京は朝から夏空が広がりました。
今回ANAインターコンチネンタルホテル東京に滞在しているのは、東京ではもう数少なくなった屋外のホテルプールがあるからです。
それを目当てにかなり以前に予約してあったのですが、ちょうどチェックインした日に梅雨明けするとは、本来ならラッキーなのでしょう。

でも私にとってはあまり好都合ではありませんでした。というのは梅雨明けしそうだとわかると、途端に予約が殺到し、ホテルは満室の賑わいに。そしてほとんどが屋外プール目当てのお客さんです。

もうおわかりでしょう。私は混んでいるところが苦手。なので、昨日はプールにはいけず、部屋にこもりっぱなしでした。優雅なプールサイドで、プラネタリウムコンサートの内容をチェックしながら、イメージトレーニングをしようと心に決めていたのですが・・・

でも諦めたりはしません。屋外プールのオープンは午前7時。行ってきました、ほぼ1番乗り。まだビルの陰になって日も当たらないプールに繰り出すなんて、よほどのマニアか運動を欠かせない事情の人のみですから、しばらくはガラガラでした。

しかも、ひんやりする水中で、皆さん泳ぐ泳ぐ!トライアスロンの練習かという感じでしたが、私もそこに加わって泳いできました。8時を過ぎるとちらほらと人が集まり始め、9時にはプールサイドがほぼ満席になったので、退散しました。

その後はほぼ室内でデスクに向かいっぱなしで過ごし、夕食には最上階にある鉄板焼「赤坂」に出向きました。

それはちょうど館内で見かけた「世界に誇る神戸牛・HIGH LEVEL KOBE BEEF」というプロモーションメニューに惹かれたから。
早速予約しようとしたら、「日曜日は瑪瑙コースがお得です」とアドバイスされ、そちらにすることにしました。

神戸牛は確かに魅力的ですが、今日は鉄板焼が食べられればそれで十分。でも神戸牛のプロモーションがなければ予約しようという動機につながらなかったわけですから、このプロモーションはそれなりに効果を発揮したと言えるでしょう。

予約時間より少し早く店に行くと、店の奥から出てきた係は一瞬戸惑いを見せました。この時点でいやな予感がしましたし、そもそもこれではプロの対応とは言えません。

イスもない店先でしばらく待たされてから案内された席は、店の一番奥にある鉄板カウンター。すでに家族連れが席に着き、食事を楽しんでいます。でも、このカウンターは同一グループなら詰めて6人で囲めないこともありませんが、別の客同士がシェアするには4人が限度ではないかと思われる広さ。

用意された席に座ると、私の体半分はカウンターからはみ出してしまう状態で、体を斜めにしなければ膳に向かえません。こんな窮屈な席は好みでないので、食事を始める前に係を呼んで交渉を試みました。

しかし、呼ばれてやってきた責任者は、「こちらが奥の窓際で、最もよいお席なのでご用意したのですが」と言い訳をしました。

確かにゆったり座れれば一番いい席なのでしょう。でも、この状態ではその価値はすでに失われています。それよりなにより、私は実際に座ってみて不都合があるから頼んでいるのであって、この席の位置づけを尋ねたのではありませんから、回答としては不適当です。

別に、こんな席に押し込まれてまで鉄板焼を食べなければならない理由はないので、もう取りやめて帰ることにしました。今回はプライベートな食事ですが、これが接待だったら大恥をかいていたところですので、もう今後は怖くて使えません。

ところが、料飲の副部長から「少し時間をもらえれば満足できる席を用意する」と提案されたので、彼の顔をたてて待つことに。
やがて用意が整ったと知らせが来て、改めて店に向かいました。

座席としては、確かに満足のゆくスペースが確保されていました。食事も滞りなく提供され、サービスや料理の味にも不足はありませんでした。そこに、待たせてしまったことや、不適切なことを言って気分を害したことへの詫びの気持ちを読み取れなくもないのですが、シビアに見れば、美味しい料理や優れたサービスは、料金に当然含まれているものです。

もし、非礼を詫びるつもりがあるのなら、何かしら特別な行動に打って出る必要があります。なにも大きなコストのかかることをする必要はありません。他の店でよく行われているのは、お詫びのワンドリンクなどの、ちょっとしたおまけです。べつにそれが欲しいわけではありませんが、気持ちは形になります。そのうえで、

より一層丁寧なサービスに努めることです。若手に任せず、黒服が最後までサービスに当たるだけでも効果は大きいはずです。

でも、何事もなかったように会計が済まされ、何事もなかったようにそそくさと見送られて、やっぱり止めておけばよかったという気分になりました。

もしかすると、店側としては「客のわがままに付き合った」という発想があり、自分たちに不手際はないと考えていたかもしれません。経験の乏しい高級ホテルでは、よくある話です。しかし、ホテルの格と料金を踏まえれば、私の要求は当然のものでした。

不行き届きはないに越したことはありません。でも、生じてしまった不行き届きも事後処理をきちんとすれば、何事も起こらなければ得られなかったチャンスにつながることもしばしばです。その点、この「赤坂」の責任者は、幾多も残されていたチャンスをひとつたりとも活かすことができませんでした。残念です。