久しぶりに弾くエレクトーン

実は、ここしばらくエレクトーンに触れずにいました。長生館でのコンサートの際に演奏して以来なので、10日以上遠ざかっていたことになります。

その間にもプライベートレッスンはあったので、軽く弾いて聞かせたり、タッチコントロールやニュアンスの実演のために脇から手を出したりはしていましたが、いわゆる「マジ弾き」はご無沙汰です。

話はそれますが、私はプライベートレッスンの際、受講生にばかり弾かせずに、私もよく弾きます。百語を重ねるよりも、一度演奏を聞かせる方が多くのことが伝わるからです。

出来るだけ思いを込めてコンサートさながらに弾いて聞かせたいところですが、どんなに集中しようとしても、レッスン中の感情移入には限界があります。

それはなぜかを考えてみましたが、レッスン時の私のモットーは「主役は受講生」なので、常に受講生の気持ちのあり様に集中しています。

そのため、なかなか私自身の世界観を前面に出すことができず、せっかく模範的な演奏をしようと思っても、中途半端な弾き方になってしまいます。これでは十分な手本にはなりませんね。

さて、今日の稽古はエレクトーンシティ渋谷で。8月15日におこなう演奏会のリハーサルを兼ねて、古原尚貴も顔を出しました。

久しぶりに本気で向かったエレクトーン。いったいどんな手応えなのでしょうか。しばらくさぼっていたツケで、勘が鈍ってしまったでしょうか。

ところが、実際はその真逆で、自分でも驚くほどに冴えていました。かなり久しぶりに引っ張り出して弾いてみた曲でも、ほとんどノーミスで、しかも以前よりも深い表現が加わって、信じられないくらいに絶好調です。

「なんていい曲なんだろう」と、自分でうっとりしながら弾いていました。ナルシシストじゃありませんよ。自分の演奏にではなく、作品に酔いしれていたのですから。でも、ひとりきりで弾いて楽しむのではなく、これがコンサートだったらもっとハッピーなんですけれどね。

ここ一週間は、どうにも気持ちが乗らず、音楽に正面から向き合うのを控えていました。でも、こうして必ず新しい波がやってきます。それを信じてじっと待つことも、飛躍的な成長を実現するには必要なことなのかもしれません。