行こうと思えばいつでも行ける。そんなふうに気楽に構えていればいるほど、なかなか足を運ぶ機会を持てないことってありますよね。
私がお気に入りのレストラン「はれるや」もそうです。誰かと会う約束があったり、比較的近くまで出向く用事ができた時など、今日は「はれるや」に顔を出してみようかなと思うことは多いのですが、ここのところタイミングが合わず、なかなか立ち寄ることができずにいました。
そんな折、稽古をしていると「はれるや」のマネジャーから一本の電話が入りました。どうしたのかな?と思いつつ応じると、まずは月並みな挨拶があったのですが、それがかえってただ事ではないのだろうという気にさせます。
電話の主旨は店が閉店することの知らせでした。また大好きな店が消えてしまう。そう落胆する間もなく、マネジャーやシェフの行く末が心配になりました。
とにかく、残り少ない営業期間を誠心誠意まっとうしたいとのこと。であれば、と早速顔を出す約束をしたのでした。気持ちが固まれば、こうしてすぐにでも飛んで行けるのに、日常の私はいかに付き合いが悪いかを、改めて思い知るきっかけにもなりました。
店に到着したのは午後7時。この日も一日中稽古で汗びっしょりでしたので、まずは白ワインとガス入り水でのどを潤します。
落ち着いたところで、マネジャーとメニューを相談。仕入れ状況やお勧めを聞きながら、素材や調理法、品数などを決めていきます。メニューを見ることなく、口頭での説明からイメージを膨らませて注文するというのも、レストランの醍醐味ですが、味も値段も後々までわかりませんので、信頼の置ける店に限ります。
相談の結果、前菜・前菜・肉・魚・デザートの5皿に決まりました。
前菜はハーフポーションでも応じてくれるとのことでしたが、せっかくなので一人前でオーダーしました。
前菜その1は、真鯛のサラダ仕立て。
ゆずのヴィネグレットがさわやか。さっぱりとした風味が新鮮な魚を引き立てます。
前菜その2は、タラバガニとコンソメのゼリー寄せ。
いつもはグリーンピースのソースで仕上げているそうですが、グリーンピースが苦手な私のためにトマトベースにしてくれました。
魚をメインディッシュにしたので、肉は軽めに。
これぞ私がイチオシの国産仔牛のメンチカツです。脂少なめなのにジューシーです。
メインディッシュには前菜にも使った真鯛をポワレにしてもらいました。
結構なボリュームでしたが、ちんまり出てくるよりも存在感があっていいように思いました。
デザートはグレープフルーツのスフレアイスクリーム。スイカが添えてありましたが、タネは取り除かれていました。
ああ、もうこれで食べ収めかと思うと、泣けて来ます。思い残すことのないようにしみじみと味わいました。といいつつ、まだ閉店まで何日かありますので、また再訪するかもしれません。
私のコンサートも「いつでも聞ける」と思っていたら、突如電撃引退なんてことがあるかもしれませんよ。