岩手町 ひとりオーケストラコンサート

昨日は一時的に雨が降ったりもしましたが、今日はまた朝からいい天気。気温もぐんぐん上がりそうです。午後からは、待ちに待った岩手町で初めての神田将コンサート。自信を持ってお客様をお迎えできるよう、午前中から準備やリハーサルを開始するため、会場へと向かいました。

宿は盛岡駅近くだったので、岩手町までは車で30分程度のドライブ。途中、盛岡の名所のひとつ、「石割桜」を見物させてもらいました。天から降ってきたような大きな大きな花崗岩のど真ん中から、これまた太くて立派な桜の木が幹を伸ばし、自由奔放に枝を広げている姿は圧巻です。樹齢は300年とも400年とも言われているとか。満開の時期にまた見てみたいものです。

会場に着くと、会館の入り口に今日の公演看板が立てられていました。この手作り感に、町の皆さんから寄せられる歓迎の気持ちが溢れているように感じました。

会場はすでに照明と音響の準備が整っており、すぐに演奏のリハーサルを開始しました。といっても、今日のプログラムはまだ決めていなかったので、それでは照明さんも進行係さんも困ってしまいますね。

まずは会場の音の感触をつかむために数曲弾いてみました。低音はよく響きますが、クリアな感じが足りません。少しタッチをシャープにして演奏する必要がありそうです。また、場内の響きの特性から、メローでスローな曲の方がキレイに聞こえそうです。

ところで、今日のお客様の層はどんな感じなのでしょう。責任者の方に伺ってみましたが、年齢層は幅広く、特に客層が決まっているわけではないとのこと。であれば、ある程度の選曲をして、あとは本番で実際に様子を見ながら調整するのがよさそうです。

とりあえず選曲をして、休憩なしの90分プログラムを決めました。ほぼ全曲クラシックの10曲。でも、それぞれに個性的で特徴のある曲ばかりですので、きっと変化に富んだ雰囲気を楽しんでいただけることでしょう。中には演奏時間が10分を超える作品もあり、聞き応えも充分です。

選曲を終えてからは、今日のプログラムはサラッと確認する程度にして、リサイタルの曲をリハーサルしました。今日のプログラムは演奏し慣れている曲が多いので、あまり念入りにリハーサルしてしまうと、かえって緊張感が損なわれるからです。

また、リサイタル用の曲は技術的にも極めて高度なので、それらを弾いておくことは、これからの本番に向けた指の準備体操としても最適です。もうリハーサル中から汗びっしょりでしたが、照明も加わっての演奏だと、自然と気持ちが入り込んでいきます。

楽屋に戻ると、テーブルにはさりげないフラワーアレンジが。ホッと心がなごみます。

作りたてのおだんごも。もっちもちで最高。

昼食には弁当が用意されていたのですが、ごめんなさい、私にはどうしても味わってみたいものがあって、ランチの行き先は心に決めてあったのです。

そう、○○○カレーと、○○○ソフト。

美術館と並んで設けられている道の駅「石神の丘」は、コンサート会場からもほど近く、そこまでの道のりにも数々の屋外彫刻アートが点在しており、あおあおとした草原と、真っ青な空、そしてどっしりと鎮座する彫刻のコントラストは、それぞれに見応えがあります。

道の駅のレストランで昨日から目を付けていたのは、ブルーベリーカレーです。

ほんのり甘酸っぱく、さらさらと軽やかなカレーでした。フレッシュブルーベリーも入っています。

食後は、屋外で春みどりのソフトクリームを。

春みどりとは、岩手町名産のキャベツのことです。キャベツ入りソフトクリームとはどんな味かと興味がありましたが、キャベツの主張はほとんど感じられませんでした。やはり、味という点では昨日のブルーベリーソフトの方が数段上手です。

念願も叶ったところで、会場に戻り、リハーサルの続きをおこない、ぎりぎりまで演奏を続けました。

開場時間が迫ったので、リハーサルを終えて、会場内の熱気をクールダウンします。
着替えるのは本当にギリギリにしました。会場内は雑音を防ぐために空調などを停止しているので、おそらく灼熱地獄になるでしょうし、リハーサルでかなりヒートアップしているので、すでに汗が止まらない状態でしたから、熱中症にならないよう注意が必要です。

5分押しでスタートしたコンサート。1曲目の「ボレロ」から会場の反応は上々でした。皆さん、とてもいい「気」をステージに返して下さいます。

1曲終わって、挨拶のトーク。町内の皆さんの人柄の良さが、たちまちステージ伝わってきたので、私も最初からリラックスモードで爆笑トーク炸裂です。おっといけない、これじゃエレクトーン界のきみまろになってしまいます。首の皮一枚分でも気品を保たなくては。

もう無理に客席を盛り上げようとしなくても、お客様は音楽の魔法に掛かってくれましたから、いつも通りに精一杯の演奏をお届けするだけです。

後半に向かうにつれ、私がエレクトーンを愛して弾き続ける理由や、音楽に真剣に取り組む喜び、これから実現したい夢や希望などを皆さんに聞いていただきながら、曲にまつわるエピソードや、演奏に込める思いなどをお話しし、予定通りに全10曲を気持ちよく演奏させていただきました。

アンコールは珍しくラデツキー行進曲を選んでみたところ、会場の皆さんも手拍子でお付き合い下さいました。

CDのサイン会の時には、昨日の久保小学校で聞いてくれた子が親子で来てくれていたり、「もう一度聞きたかった」と、岩泉からはるばる駆け付けてくれた方もいらっしゃって、とても嬉しかったです。

エレクトーンにも興味を持ってくれ、1歳児を連れたママからは、「何歳から習えるんですか?」と質問があったり、「今からでも何か弾けるようになるかしら?」とちょっとしたやる気を起こしてくれた奥様もいらっしゃいました。

こうしてエレクトーンの輪が広がっていくのは嬉しいことです。
今日もまたネクタイまでびしょびしょでしたが、とても気持ちのよいコンサートでした。

盛岡までの帰り道、岩手山のシルエットや、黄金に輝く稲穂など、秋が近い東北の風景を満喫しながら、今日の演奏もまた、お客様やスタッフの皆様、そして岩手の大自然に助けられたと万感の思いにひたっていました。