秋田県内巡回コンサートも残すところ2日間となりました。今日は昨年も訪れた羽後町で、2回のコンサートをおこないます。
会場となるのは、2回とも羽後町立三輪小学校。国道から外れた、民家や田畑に囲まれた穏やかな環境にある学校で、校舎の二階からは広い空と名峰「鳥海山」が望めます。
現在の校舎は平成8年に建て替えられた新しいもの。会場となる体育館も立派です。校舎の裏側には8コースのプールが済んだ水を湛えていました。プールの見える窓辺に立つと、心地よい風が通り抜け、いつまでも佇んでいたい気分です。
午前中は低学年を対象としたコンサート。近隣の元西小学校の低学年生徒たちも加わり、2校共同での鑑賞です。開演にさきだっての校長先生からの挨拶では、エレクトーンを「楽器の中に小人たちがたくさんいて、いろいろな楽器を演奏しているよう」と表現してくれ、なるほどと思いました。
今日の子どもたちは、演奏会をよほど楽しみにしていたのか、コンサートが始まってもワクワクが止まりません。加えて、校舎内に配達のトラックが入って来て、バックをする時のハザード音が響いて、演奏への集中力を阻害します。
これでは繊細な曲は効果を発揮できないと思い、途中からは軽快で楽しい曲を次々と演奏することにしました。狙い通り子どもたちはとても盛り上がってくれましたが、音楽には美しいものや悲しいものもあるんだよということを伝えきれなかったのは残念でした。
午前の演奏会を終えて、ランチタイム。当初は弁当が用意される予定でしたが、校長先生が気を利かせて、羽後町名物の蕎麦屋へ連れて行ってくれました。
羽後町は「冷がけそば」発祥の地といわれています。「冷がけそば」とは、文字通り冷たいかけそば。一般的に冷たいそばといえば、もりそばやざるそばを連想しますが、こちらでは冷がけがポピュラーだそうです。
蕎麦屋が何軒もあり、どこもランチタイムは混雑する人気ぶり。また蕎麦栽培も盛んで、9月からは当地で採れた新蕎麦を使っている店も多いようです。
向かった店は「彦三(ひこさ)」。大きな民家がそのまま蕎麦屋になったという趣きで、看板すら出ていません。でも、次々と客が訪れ、居間風の店内はたちまち満席となりました。
注文したのは、彦三セット(1,300円)。ミニ蕎麦会席といった感じの膳で、冷がけ(ハーフ)、そばサラダ、鰊甘露煮、揚げそばがき、そばきな粉という内容です。
実は昨年も西馬音内を訪ねた際、こちらの店で同じ膳を食べたので、これが2回目でした。特に、冷がけの残り汁とそば湯の相性は抜群でした。
学校へ帰る途中に、西馬音内盆踊り会館に立ち寄りました。盆踊りの際にはメインストリートになるという道路も、今日は静けさそのもの。通りに面したシックな外観の会館には、盆踊りの伝統的な衣装やミニチュア人形が飾られていました。
また、この界隈はまんじゅう文化も栄えているとか。校長先生イチオシのまんじゅう屋は、朝の8時には売り切れてしまうそうで、今回は味わうことができませんでした。
ちょっとガッカリしていると、車窓から「そばソフト」の文字が飛び込んできました。これは試すしかないと思い、車を止めてもらって、ソフトとまんじゅうを購入。川を眺めながら青空の下でソフトクリームとは幸せです。欄干には盆踊りのオブジェが。ソフトクリームとのツーショットも、ばっちり決まりました。
午後からは高学年向けのコンサート。同じく元西小学校の高学年も加わっての鑑賞です。さすが高学年、演奏中はしっかりステージに集中してくれ、とても演奏しやすく感じました。曲目も2曲だけしか重複せず、まったく違う雰囲気のコンサートとなりました。
羽後町とお別れし、秋田市内へと移動する途中、私はハイエースくんの後部座席で、ほぼ気絶状態。実は午後のコンサートの終盤あたりから、気が遠くなってきました。
連日の演奏くらいでガタがくるほどヤワではありませんが、音楽的に集中できない環境での演奏を重ねると、想像以上のストレスが掛かり、ひどく消耗してしまいます。演奏中の集中度は、複雑な外科手術にもゴルフの最終パットにも匹敵しますので、わずかな雑音や空気の動きがストレスになります。
たぶん、そのストレスに対処する回路がオーバーヒートしたのでしょう。足鍵盤に延髄蹴りされた部位も、日に日に痛みとけだるさが増していますし、リハーサル中は学校のスリッパで演奏していたので、気がつけば足の裏に水膨れがいくつもできて、それが破裂して血だらけです。
フルマラソンよりは楽ですが、ハーフよりはきつい感じでしょうか。こんなコンディションですが、明日も手抜きなしのマキシマムでいきます。夜はおいしいコーヒーで一服。生き返りました。