リサイタルから一夜明けました。ぐっすり眠って爽やかに目覚めたと言いたいところですが、実際は3時間ほど浅く眠っただけでした。
でも、例年のような「堪え難いほどの喪失感」や「急に地球にひとり取り残されたような孤独」を感じることもありませんでした。
それだけ皆様から支えられているという実感を強く持てるようになり、また、私がリサイタルを通じて何を表現したいかということが、以前より明確になったからだと思います。
今朝の目覚めとともに実感したのは、昨日までの間、いかに肉体を酷使してきたかということです。3時間の眠りの間に、体は自然とリカバリーモードに入っていました。
激しい筋肉痛と、いつもながらの爪の剥離。でも、ここで気を緩めてしまっては、身も心もドロドロに崩れてしまいますので、コンディションの悪さを気にするのはやめました。
さて、今日の昼食は、関西からリサイタルに駆け付けてくれた友人とともに、コンラッド東京の日本料理店「風花」にある鉄板焼カウンターを利用しましたので、久しぶりにグルメレポートをお届けします。
カウンターはわずか2ブース。それぞれに職人がひとり付きますが、同時に複数のグループをさばくような予約の取り方はしない店ですので、いつでもゆったりと職人の技を楽しむことのできるコーナーとして気に入っています。
この店の寿司カウンターもそうですが、いわゆる巷の店から職人を呼び寄せたことで、あまりホテルの店らしくない個性的で創意工夫にあふれた料理が楽しめるところが、「風花」カウンター席最大の魅力です。
こちらの鉄板カウンターにもユニークな職人が入り、それまでとはガラッと流れが変わりました。8月に一度ディナータイムに利用して大満足したので、今回、大切な友人をお連れするにあたり、その際の職人を指名して予約を入れました。
夜は抑えた照明と、窓の向こうに広がる東京ベイの夜景が印象的ですが、日中は明るい日差しが入り、まぶしいくらいです。
まずは目の前に今日の素材が、魚介と肉に分けて並べられます。あらかじめ注文してあったコースのメインは、「その日の魚介と常陸牛」というのがスタンダードですが、予約時に魚介を黒鮑に、そして常陸牛を神戸牛にアップグレードするように依頼しておきました。
ところが、肉は常陸牛のまま・・・。予約時に伝わりきらなかったのかもしれませんが、この段になってバタバタするのも無粋ですので、今日は常陸牛を味わうことに決心しました。
シャンパンで乾杯した後は、生湯葉、焼き茄子と松の味の椀が続きました。(椀は真っ黒でしたのであえて撮影しませんでした。)
そして造り。中トロまぐろとノドグロでした。
ほどなく最初の焼き物、黒鮑が仕上がりました。
岩海苔の風味が効いたオリジナルソース、そしてワサビ風味のとびっ子と絡めて楽しむ鮑は格別です。添えられたアワビダケは肉厚で芳醇な香り。バターでソテーした肝とよく合います。
続いて焼き野菜。
鉄板の野菜は「肉の添えもの」的な扱いになる場合がほとんどですが、こちらでは野菜本来の味をお届けしようと、野菜のみのプレートで出してくれます。みずみずしい会津のアスパラガスや、デザートのように甘い三浦かぼちゃなど、それぞれの持ち味を存分に味わえる仕上げでした。
生野菜はフルーツ、米酢、米油を使ったさっぱりヘルシーなオリジナルフレッシュドレッシングで。
ほどよく焼き上がったフィレ肉には、青森のホワイト六片スライスを添えて。食事は白米か玄米をチョイスでき、香の物と味噌椀が付きます。
デザートは席を移して窓辺のソファで。
以前はフルーツでしたが、プチデザートを盛り合わせたスタイルに変わりました。
職人との会話も楽しめる、粋な鉄板焼コーナー。自信を持ってお勧めします。