上海探訪における最大の楽しみは、何といってもグルメ。世界各国の料理が揃う国際都市であるだけでなく、大胆な発想による創作料理で話題を呼ぶ店も多数あり、店選びの楽しみは尽きません。
ユニークな最先端料理も興味深いのですが、私はやはり本場の中国料理に最も強く惹かれます。上海料理はもちろん、中国全土の料理が味わえますが、人気の店は昼夜を問わず客足が絶えません。
そして、料金的にも幅が広く、一食100円未満で満腹になる庶民の味もあれば、その何百倍もの支払いが必要な高級料理店もあります。それでも、平均すると東京よりもかなり安く感じます。
高級店でフカヒレや上海ガニ、ナマコ、鮑、魚の姿料理などの高級料理を味わおうと思えば、いくら予算があっても十分ということがないくらい上には上がありますが、美味しいものをお腹いっぱい食べるには、せいぜい一人2~3千円もあれば満足できます。
そして、店のロケーションや内装だけでなく、建物そのものにも店それぞれの個性が光り、上海での食事は毎回が新鮮な驚きの連続でした。
今回の滞在中にはホテルでの朝食をのぞき、7軒のレストランを利用し、トータルで67種類の料理を味わいました。皆で円卓を囲めば、種類豊富な料理を味わうことができるのも、中国料理の魅力です。
そのうちの60品をご紹介しましょう。
まずは鹭鹭酒家恒隆店。以前のクラシカルな内装から、一転してド派手ギンギラギンに改装され、ビックリ。でも、味は昔のままのようです。
最後は酒粕と小豆の温かいおしるこでしめました。
続いては、大人気の「吉士酒家」。いくつかの支店を持っていますが、天平の店がダントツに美味しいです。客席は1階と2階に分かれていますが、両方を合わせても決して広い店とは言えません。
しかも、テーブルをぎゅうぎゅうに詰め込んでいるので、隣の客と袖すり合わせるのは当たり前という雰囲気。常に活気があり、若い男性ばかりの従業員も息つく間もなく動き回っています。
今回この店を訪ねたのは、復旦大学での公演を終えた後。ボロボロに疲れているのに、冷たい雨が降る中、店先に並ばされて、かなり不機嫌だった私。
ところが、料理が並び、一口頬張ると、たちまちご機嫌になり、帰る頃にはすっかり元気になっていました。騒々しいのが大嫌いな私が、それを我慢して毎日でも通いたい店です。
その料理も味がはっきりとしていて、私好み。野菜から上海ガニ、デザートに至るまで、すべての料理が上品に主張していました。
翌日のランチタイムは、吉士酒家と同じ衡山路エリアにある広東料理店「京翅坊」を訪ねました。美しい女性オーナーの店とあって、内装にも料理にも女性らしい思い入れが込められています。
リッチな味わいのフカヒレ姿煮からスタートし、フォアグラや牛フィレステーキなど、西洋料理のスタイルに中国料理のエッセンスを加えた料理を、ナイフフォークで味わいます。フレッシュキウイジュースも美味しかったです。最後にコーヒーが出てくるところも西洋風。
口直しの梅ジュースなど、細やかなあしらいもまたエレガントでした。
14日のランチは、芸術祭総督の招待で訪ねた「思南公館」の「Aux Jardins」。こちらはフランス人シェフによるフランス料理の店ですが、どこかしら中国的なスパイスが加わり、上海で食すフランス料理という雰囲気を醸していました。
お馴染みの鴨肉も、山椒の効いたソースと共に味わうと新鮮さが感じられます。
デザートの盛り付けもしゃれていました。
夜は上海の友人たちと家族一緒に丁香花園「申粤軒」へ。広々とした庭園の中に佇む上海料理と広東料理をメインにした店で、気取った感じがなく、ファミリーでも楽しく過ごせそうな雰囲気です。サービスも手慣れた感じで、マネジャーの日本語が流暢でした。
鶏はあちこちの店で食べましたが、私はこの店のが一番好みに合いました。骨のある部分も少なく、食べやすいのが気に入りました。
毎度毎度、このような食事をしていた割には、体重は増えません。さほど脂っこくないのと、野菜がたっぷりなこと、そして茶をたくさん飲むので、脂が残りにくいのかもしれません。
食事に加えて、アフタヌーンティも。
こちらはペニンシュラのアフタヌーンティです。お値段も街中の食事より高額でした。
家族を先に東京へ帰したので、あとはチープに行きます。いわゆるファミレス。
ただ大きくて安いだけのマンゴーシャーベットです。この大きさでも40円くらいですが、とても全部は食べられません。一口で十分。なのに、結局、いつまでも忘れられないのが、このシャーベットだったりするんですよね・・・