姜建華二胡コンサート in 宮古

今日は、秋田県の大館から岩手県の宮古まで、ジャンボタクシーでの移動。200キロ以上の道のりを、4時間半掛けて走り抜ける予定でした。途中までは高速道路を使い、その先は国道になりましたが、信号も少なく、快適なドライブでした。

幾多の山を越えながら、あと一週間もすれば色鮮やかに染まる木々を眺めてうっとりとしたり、先月訪れたばかりの鹿角を通り、岩手山や八幡平を仰いでいると、まるで故郷に戻ってきたかのような気分でした。手配してもらったジャンボタクシーも鹿角から来た車でした。

途中、岩手山サービスエリアでランチタイム。盛岡三大麺セットを注文しました。冷麺、蕎麦、じゃじゃ麺が少量ずつ並び、オニギリが添えられています。こうして麺を食べ比べてみると、それぞれに個性があることがよくわかりますが、大好きな蕎麦が最も他の麺の影響を受け、美味しさが半減したように感じました。

食事の口直しに「りんごソフトクリーム」。ブルーベリーソフトもあったのですが、ブルーベリーはやっぱり沼宮内でしょう。というわけでチャレンジしたリンゴソフト。甘酸っぱく爽やかなシャーベットのような味わいでした。

車が高速を降りてからは、私好みの風景が続きました。鉄道と川に寄り添ったカーブの多い道では、窓を開け、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込みながら、山々や流れる雲に思いを馳せます。

気温は10度台の前半。ひんやり感がまた心地よく感じられました。思えば、先月訪れた岩泉では連日30度以上の猛暑となり、空調のない体育館での演奏は灼熱の世界でしたが、それも今では懐かしい思い出です。

宮古といえば漁師町。八代亜紀さんの歌声がよく似合うに違いないというイメージを抱いて訪れました。でもコンサートホール周辺に、そうした風情はあまり感じられません。雨が降り出したこともあり、散策は控えることにしました。

今回のツアーは今日で4日目。日ごとに演奏の質は向上していますし、余裕があるからこそ可能な試みが加わり、毎日同じ曲を演奏しているのに、まったくマンネリ化しません。

また、日々気付いたことを、翌日の演奏に必ず反映させる工夫をしているのですが、誰かが感じた違和感は、実は全員が感じており、毎回満場一致で改善案が可決されるところも、チームワークのよさだといえるでしょう。

今日のお客様を一言で表現するならば、「おくゆかしい」という言葉がぴったり。ワーッと盛り上がることはなく、比較的冷静な反応に感じられるのですが、実のところは音楽を心底楽しんでくれているのがわかります。きっと、バーゲンセールの時も、血相変えて突進したりせず、おおらかに構えるに違いありません。

訪れる土地によって、あるいはその日の天候や季節によって、客席から放たれる雰囲気に大きな違いがありますが、ステージに立つ度に、今日はどんな反応を返してくれるだろうかと、まるでお見合いのような期待感と緊張が待ち受けていて、それもコンサートの大きな楽しみのひとつです。

今回もまた、岩泉や釜石など、遠方より駆けつけて下さったお客様もらしたので、外は冷たい雨でも気分は晴れやかでした。

明日の終演後、私以外の出演者はすぐさま東京へと帰りますが、私は楽器の分解があるので、最終新幹線には間に合わず、居残り宿泊をします。慌てて帰るのは好きでないので、かえって好都合ですが、他の出演者と労い合うことができないので、今夜、ひと足先に慰労会をしました。

出演者全員の密かな楽しみは、新鮮な海の幸。店の下調べは、バトラー役の私が仰せつかりましたので、昨晩ちゃんとリサーチしておきました。いくつか候補がありましたが、私のイチオシとして紹介したのが「魚元」。宿泊ホテルからも近く、何かと好都合です。

私は片付けやCDのサイン会などがあるので、会場に居残りをして後から合流したのですが、料理に手をつけずに私の到着を待っていてくれました。座ったカウンターの前にはいけすがあり、地元の漁師が獲ってきたという魚たちが泳いでいます。

自慢の造りは、帆立、鮑、鮪、鰹、葡萄海老、烏賊というラインアップ。どれも甘く濃い味がして美味しかったです。他にも、焼き魚、じゃこサラダ、さんまの刺身、めかぶ、牡蠣酢など、どれもこれも嬉しくなるような味わい。割烹着姿の女将さんの優しい笑顔に、心が和みました。

さあ、姜建華二胡コンサート東北ツアーも、残すはあと一夜。明日も絶妙なアンサンブルで、お客様を魅了したいと思います。