2010.10.31(日) jet Happy Live the final 伊藤楽器

全日本エレクトーン指導者協会が全国で展開してきたjet Happy Live、神田将の出演は今回で最後となります。

私にとって7ヶ月ぶりのjet Happy Liveの会場は、千葉県船橋市を本拠地とする伊藤楽器さん。明治時代に時計店として創業し、今では日本でも有数の規模を誇る楽器店に成長しました。

jet Happy Liveの魅力は、なんといっても間近で演奏を楽しめるところです。音楽ホールで聞く演奏は、大きな空間や豊かな響きと相まって、音楽的も雰囲気的にもリッチな気分を味わえますが、コンパクトな空間の場合は、演奏のディテールをつぶさに感じとることができます。

そのため、エレクトーン学習者や、演奏家の息吹をもっと身近に感じたいという方には大変おススメのコンサートです。

お客様にとって「おいしい」分、演奏する側にとっては「きびしい」のも、こうした小規模コンサート。

私が得意とするシンフォニックな曲のニュアンスを十分に表現するには、オーケストラが演奏できるくらいの空間であることが望ましいのですが、限られた空間で、それに近い演奏効果を生み出すことも、エレクトーンの特長のひとつですので、演奏者にとってみれば、これはこれでひとつの醍醐味があります。

もうひとつは、お客様との距離が近いために、客席のムードが演奏の方向性に大きく影響するという点。

あまり緊張感が高まり過ぎてもいけませんし、かといっておしゃべりが始まるような緩んだ雰囲気もよくありません。

どんな演奏が始まるんだろうというワクワク感から、一気に音楽の世界に入り込んでいただき、そのまま音楽の流れに身を委ねてもらえるのが理想です。

これが成功するかどうかは、最初の一音を出す前に決まってしまいます。すなわち、舞台への登壇がいかに大切かということです。

演奏中は終始背中を向けることになりますので、演奏中の表情は限られた客席でしか見えません。演奏者のコンディションや、コンサートに注ぐ思いの丈、お客様への思いやりなど、ステージに登場して演奏の構えに入るまでの短い間に、お客様は演奏家を品定めしますが、その第一審査に合格するかしないかで、その後の演奏しやすさに大差が生じます。

大ホールの場合、会場の熱気が後押しして、雰囲気はおのずと盛り上がってくれることが多いのですが、小さな会場では、その逆のことが起こります。
すると、まるでオーディション会場のような陰険な雰囲気になることもしばしば。

学校コンサートの際、開演前に先生が「静かに聞きなさい!」と必要以上に生徒に圧力を掛けている場合も、子どもたちが凍り固まってしまいますが、それを解きほぐすのに、1曲、2曲を無駄にしなければならないこともあります。

逆に、観客がリラックスしながらも高い集中力を維持している場合は、コンサート全体がまるであっという間に感じられることでしょう。

演奏家が常にベストを尽くすのは当然ですが、「ベスト」が「奇跡」に変わる、あるいは「努力」が「芸術」に変わるには、客席からのエネルギーが大きく働いているのです。

幸い、私はいつも優秀なお客様に恵まれています。その中で得難い経験を重ねることで、成長してくることができました。今度も、伊藤楽器さんでどのようなお客様と出会えるのか、とても楽しみにしています。

jet Happy Live the final 神田将 Special Live

日時:2010年10月31日(日) 13:00開演

会場:船橋イトウミュージックシアター(伊藤楽器本店3階)

チケット:一般前売券/2,000円
(jet伊藤楽器支部会員とその生徒の前売券は1,800円)
当日券/2,500円(一般・会員同額)

お問い合わせ:伊藤楽器 YAMAHAピアノシティ船橋(ルナパーク船橋2F)
TEL:047-431-0111