朝の伊丹-羽田便は満席。元来ビジネスマンの多い路線ですが、満席ともなるとさながらラッシュアワーのようで殺気すら感じられました。
定刻通りに羽田に着き、預けた荷物を受け取るためにターンテーブルへ向かいますが、到着ゲートから遠いことといったら。腰をかばいながらゆっくりと歩く身には、一層こたえる距離でした。
そして、荷物が出てくるまでの間、随分と長いこと待たされます。この待ち時間は、どんどんと長くなってきたような気がします。荷物は最優先で返してもらえるのですが、それでも動かないターンテーブルの前で10分以上待たされました。
こんな調子だから、皆がルールを無視して機内に大きな荷物を持ちこんでしまうのでしょう。いずれにしても、私の荷物は大きい上に重く、どう頑張っても持ち込めませんので、必ず預けています。
迎えの車に乗り、束の間の東京で滞在するホテルにチェックインしてから、リハーサルのためエレクトーンシティへ向かいました。自宅に戻ることも考えたのですが、まだ階段がきついので大事を取ってホテルステイをすることにしたのに、エレクトーンシティには心臓破りの階段が待ち構えています。
しかも今日のリハーサルは4階のスタジオ。意を決して一段ずつゆっくりと昇りましたが、荷物はホテルに置いてきたので、思ったより困難はありませんでした。
リハーサルの顔ぶれは、前回同様に伊藤真友美さん、米津真浩さん。そこに指揮者パフォーマーの好田タクトさんが加わりました。
伊藤さんとのリハーサルは今日の次はもう本番直前ですので、今日中にほぼ仕上げておく必要がありますが、一度の合わせでほとんど問題なくクリア。互いに気になった点をいくつか確認しただけで、あっという間に終わりました。
米津さんとはガーシュインの合わせをメインにおこないました。米津さんは名古屋の前に鹿児島ツアーにも2週間参加することが決まり、そのプログラムと合わせると、14曲もの作品を弾いてもらわなければなりません。
短期間でこれだけの曲を仕上げるのは大きなプレッシャーでしょうけれど、若さにあふれていますし、呑み込みのはやいタイプですので、見事に乗りきってくれるはずです。
そして好田さんとの詳細な打ち合わせ。好田さんは私の品位を損ねないようにと、当初はとても遠慮がちでしたが、やるからには思い切ってチャレンジしたいので、コントのノリで進めるパフォーマンスコーナーについて、さまざまな指南をしてもらいました。
米津さんは、好田さんのグッズを借りて、指揮パフォーマンスを体験。誰の模写か、わかる人にはわかりますね。
それを脇で見ていた伊藤さんと米津さんは終始大笑い。これだけ楽しそうにしてもらえると、やっている方にも勢いがつきます。コンサートがこれほど楽しさに溢れるなんて、これはかなり新鮮かもしれませんよ。
こうして稽古を重ねる度に、コンサート全体のイメージが膨らみ、本番に向けて気分が盛り上がって来ます。とてもいい雰囲気なので、きっといいコンサートになることでしょう。
リハーサルの後は、表参道ヒルズにいきました。冒館内に流れるBGMも神秘的で大きな効果が感じられます。
今夜は財団法人ヤマハ音楽振興会の皆さんと、アンオフィシャルな食事会兼ワイン会。ちょうど私と同年代でエレクトーンに対する情熱の深い人たちだけで集まりました。
エレクトーンは、かつて黄金時代があっただけに、今は少し低迷しているようなムードもありますが、私が各地で演奏会をしながら感じている手応えには、まだまだエレクトーンの時代はこれから大きく拓けるという確信があります。
今、私たちの世代が熱意を失ったら、この素晴らしい楽器は時代に埋もれてしまうかもしれません。エレクトーンをダメにしたのは神田将たちの世代だなどといわれないためにも、かつてない取り組みを進めようと、気持ちを新たにしたミーティングでした。