今日もまたまた休演日。今回のツアーは、演奏クオリティと体力維持のためにOFFが多く組まれているのですが、ノンストップ人生まっしぐらの私にとっては、逆に調子狂わせなスケジュールです。
弾く時は弾きまくる。書く時は書きまくる。遊ぶ時は遊びまくる。白黒ハッキリしたライフスタイルが理想です。
今日もまたホテルにこもって編曲作業の一日。ところが、どうも頭の切り替えがすんなりといきません。かといって、遊びに行くのはもっと気が進みません。
ふとホテルの窓から外を見ると、何やら賑やかそうな施設があります。函館や小樽でも目にしたような古びたレンガの建物には、SAPPORO Factoryと看板が掲げられています。ちょっと様子を見に行ってみることに。
ここは130年も前にビール工場として建てられた施設。この赤レンガの建物は工場跡だそうです。奥の広場には煙突も残っており、季節柄(というより気のはやい)サンタがよじ登っています。
広い敷地の中心部はアトリウムを囲むようにして店がたくさん並ぶ複合商業施設になっています。このような多くの人が行き交う場所が大嫌いな私。踏み入れるには勇気がいりましたが、まだ開店直後とあって人はまばらでした。
ちょっとした探し物があったので購入し、さて帰ろうと思ったら、以前食べて美味しかったパン屋の支店があったので、立ち寄りました。早めのランチにちょうどよさそうです。
パン屋の名前は「Moulin de la Galette」。サンドイッチでも食べようかと選んでいたら、焼き立てパンが運ばれてきました。栗と胡桃のパン、そして林檎とさつま芋のパン。どちらも私の好みじゃないですか。迷わずこれらに決めました。
焼き立てのパンはふっくらホクホク。中の具は熱々でした。バケット類だけは焼き立てだとイマイチですが、これは冷めるとこうは美味しくないと思います。
さて戻って仕事に取り掛かりましょう。
ホテル客室には「北海道写真史」というフォトブックが置かれています。幕末から明治にかけて、北海道が開拓されて激変する時代の様子を、古い写真が強烈に語りかけてきて、ページをめくる度に引き込まれていきました。
当時の札幌の様子は、今、窓から眺める景色とはあまりに違います。この大地はこの150年で本当に豊かになったのか。カメラに視線を合わせず、渋い表情で構えているアイヌの長老の眼から感じとれるものは、私を苦い気分へと導きました。
長年、古い音楽から精神性を読み取る作業を繰り返してきた私には、こうした歴史の断片から、多くのことを受け止めてしまいます。便利に暮らすことと、強く生きることは、まったく次元が違いますが、どちらが人生を豊かにするのかなと、しばし考えてしまいました。
今日の夕食はハンバーグ。目玉焼きがハート型です。