7月12日、和歌山宮井楽器による屋外エレクトーンコンサートが開催されました。場所は南海電鉄和歌山大学前駅コンコースを出たところ。レンガ造りの洒落た駅舎に続く広場ではクマデ椰子が風に揺れ、横手の丘には巨大なイオンモールが見えます。そんな青空のもとでの演奏会を、裏方として一日サポートしてきました。
まずは、教室から必要な機材やお客様用のイスを運び、何もない広場をコンサート会場に仕立てます。せっかく聞きに来てくださる方々に、屋外ならではの開放感と迫力ある音をたのしんでもらえるよう、エレクトーンやスピーカーの位置を何度も調整。もちろん、弾き手が自ら奏でる音の中で気分よく弾けるようにとの配慮も欠かしません。
開演は午後3時。たくさんのオーディエンスに見守られながら演奏が始まり、エレクトーンによる生き生きとした音楽が、広場全体に響き渡りました。出演するのは、小学校低学年から私よりも長生きしている方々まで。年齢も演奏する音楽ジャンルもさまざまですが、エレクトーンを愛する気持ちは同じです。
私は音響などの演奏環境に配慮するため耳をダンボにしつつ、写真を撮ったり、周辺の雰囲気を把握しようと、あちこちうろうろしていました。上階にはデッキがあって、イオンモールと駅舎を往来する人々がひっきりなしに通ります。そうした人々がエレクトーンの音に足を止め、けっこう長い時間聞き入ってくれていたのが印象的でした。美しいメロディーにうっとりしたり、激しいリズムに乗せて体を揺らしたり、聞いている人々が一緒になって音楽を自然に楽しんでいる風景は、まさにフェスティバルです。
こうした環境の場合、やはりジャズなどのビートの効いた音楽の方が雰囲気に似合います。クラシック作品は、強弱の差が大きく、繊細な表現が必要なので、いまひとつ演奏効果があがらない場合が多いのですが、今回は弾き手の意気込みがそれをうまくカバーしていました。
初々しく人形のように可愛らしい低学年の演奏からスタートしたコンサートも、次第に年齢が上がってくると、音楽的にも成熟し、聞き応えじゅうぶん。さらに圧巻だったのは成人の皆さん。上品な自作のバラードや、はじけるようなジャズプレイを聞いていると、誰かシャンパン持ってきてよと言いたくなるようなムードに。最後は徳丸さん(和歌山では有名)による沖縄の音楽。衣装もバッチリ、エレクトーンをメインに、三線を弾き、歌を歌い、エイサーも踊りの大サービス。これらすべてがお遊びなんかでなく、ジーンと心に響くのです。
エレクトーンの多様性は熟知しているつもりでしたが、今回35人の演奏をすべて見届け、この楽器の可能性は想定以上だと痛感しました。ただ、使い方を間違えると、個性を発揮するどころか、楽器に負けて弾き手が埋もれてしまいます。今回出演した皆さんは、エレクトーンと見事なタッグを組み、思い思いの音楽を堂々と奏でていました。青空に響いた真夏のライブ、大成功だったと思います。