30日の午後には上海で組まれていたスケジュールがすべて終了し、2010年の活動にも一区切りつきました。2010年の秋冬シーズンは、限界を感じた昨年以上に過密な日々でしたが、多くの方々に支えられながら乗り切ることができました。
特に9月以来の4ヶ月は、自分が今どこにいるのかさえわからなくなるほどに、まったく息つく間もない毎日でしたので、せめて年末のわずかな時間だけでも静かに過ごし、2011年に向ける英気を養いたいと思い、滞在するホテルを替えました。
訪れたのは、外灘二号に100年前から建っている建物をリノベーションした新しいホテル、WALDORF ASTORIA SHANGHAI on the BUND。
ニューヨークの名門ホテルが、初めて米国以外に新規出店したのですが、まだすべての設備が完成したわけではなく、今のところ一部分だけがソフトオープンしています。
だからでしょうか、宿泊客どころか、館内にはほとんど客の姿がありません。上海の観光メッカである外灘に面した好立地ですので、溢れる活気があってもいいはずですが、どうやらまだあまり知られていないようです。
ホテルは、歴史的な建造物である「Waldorf Astoria Club」と、新築された「New Tower」に分かれていますが、両方合わせるとかなり広い敷地です。
「Waldorf Astoria Club」は古い建物をできる限りそのまま活用しており、壮麗なシャンデリアや豪華な装飾の数々に目を奪われますが、不思議と温かみがあり、とても居心地のよい空間です。
ロビーを囲むようにして、ハープの生演奏と共に本格的なアフターヌーンティーが味わえるティールームや、東洋一長いと言われるバーカウンターを持ち、フレッシュオイスターやヒストリックなオリジナルカクテル、バンドライブを楽しめるバー、そして洗練されたニューヨークスタイルのレストランがあります。
この建物の名物である、手動操作の三角エレベータも健在です。2階には外灘を見渡すボールルームがあります。こんなところで演奏会をしてみたいものです。
一方、「New Tower」にはアトリウム空間に設けられたスケール感溢れるブラッセリーがあります。
「New Tower」フロント前のシャンデリアはエレガントでしなやか。
このように館内はどこを見ても豪華に造られていますし、あまりに人が少ないので、まるで城の主になったような気分です。
夜になると外灘の建物はライトアップされ、どんなイルミネーションよりも心を躍らせてくれますが、このホテルもまた光の中に浮かび上がります。
対岸にある浦東の高層ビルも負けず劣らず輝いています。
今日は日中でも氷点下の厳しい寒さでしたが、そのせいか夜景がひときわ美しく見えました。
外を歩いて体が冷えたところで、「ロングバー」に入り、ウォルドルフアストリアの歴史で最も古いレシピだと言われている、「1915」と名付けられたカクテルを注文しました。アンニュイなライブ演奏もまた、外灘らしさを醸します。
滞在しているのは、トータルで20室しかない「Waldorf Astoria Club」の部屋のひとつです。クラシカルな間取り、豪華な内装、居心地の良さ、どれをとってもこれまで上海で泊まったホテルの中では群を抜いています。
趣きのある窓やフレンチドア、上質な家具に囲まれた空間に、ささやかにあしらわれた中国趣味のエッセンスがまたアクセントとして効果的です。
それでは部屋の様子をちょっとだけご紹介しましょう。
シャンデリアのあるパーラー
三方向に窓のあるリビング
天蓋付きベッド
猫足バスタブのあるバスルーム
東京にはないタイプの部屋なので、エキゾチックな気分が味わえます。コンサートでもらった花々に囲まれながら、2010年ひとつひとつの演奏会を思い出し、ひとつひとつの音楽、ひとつひとつの出会いを噛みしめています。
また、数え切れない課題すべてに解決策を見出し、2011年には更なる成長と飛躍を皆様とともに分かち合いたいと思います。
2011年も素晴らしい一年に。そして、かけがえのない人生の1ページになりますように。新年好。