ル・ペルゴレーズ at ヒルトン東京

日本に帰って来て一番嬉しいのは、水道の水をがぶがぶと飲めること。特にこの季節は冷たくて美味しい水が味わえます。

さて、2日のディナーに訪れたのは、ヒルトン東京のフレンチダイニング「ル・ペルゴレーズ」。フランスMOFであるシェフ「ステファン・ガボリョー」が料理を監修する、モダンで都会的なレストランです。

この店はヒルトン東京開業当時は「伊万里」というフランス料理店でしたが、その後大改装が施され、「トゥエンティワン」という店になりました。

「トゥエンティワン」時代には、フレンチパシフィック料理と銘打つ時期があり、堅苦しいフランス料理店のイメージから脱却し、ホテルレストランにコンテンポラリーな雰囲気を持ちこむ先駆けとなったこともありますが、ガボリョー氏との提携を機に、正統派のフレンチダイニングに返り咲きました。

2008年には店名をパリにあるガボリョー氏の店と同じ「ル・ペルゴレーズ」と改め、現在に至っています。

この店を利用するのは久しぶり。前回訪れたのはおぐけんにおごってやった時で、ブログをスタートするよりも前のことですが、それでも店のスタッフは馴染みの客として歓待してくれました。ほとんどのスタッフは顔も名前もわかっているので、とても安心です。

1月1日から3日までは、ニューイヤーの特別メニューによる営業で、料理は17,500円と22,000円の2種類のコースのみ。料理の内容はほとんどの皿が共通しており、高い方のコースにすると魚料理とデザートが一皿ずつ増えるという具合です。

さほど空腹ではなかったので、品数の少ない17,500円のコースを選びました。

用意されたメニューカードには、4種類の料理が記載されているのみ。これだと種類が少なく思われましたが、ここにおつまみ、アミューズ、小菓子が加われば都合7皿となりますので、トータルで貧弱に感じることはありませんでした。

まずはシャンパンとともにおつまみ。

続いてアミューズ。サーモンマリネとビシソワーズにシブレットやキャビアを添えてあります。

冷前菜はフォアグラのテリーヌとコンソメジュレ。右側のサラダにはブラックトリュフが載っています。フォアグラは良質で濃厚な味わいでした。

温前菜を兼ねたスープは、濃厚なビスクに、絶妙にポーチしたロブスターを浮かべたもの。

メインディッシュは牛フィレのグリエ。幾種類かのマッシュルームに白い牛蒡、最近はやりのシュパッツェルを添え、ボルドレーズソースで仕上げた一皿。この店はもう肉での失敗は許されませんから、いつも期待以上の肉が味わえます。

デザートは栗のフォンダンショコラ。焼き立ての熱々です。スプーンで割れ目を入れると、中からマロンクリームがとろりと流れ出て、湯気を立てていました。冬の幸せの味です。

ボルドーワインとともに味わった料理は、どれも大満足。一皿ごとの完成度は想像以上でした。そして、モダンさを追い求める店が多い中、ここの料理は意外にもオーセンティックです。本当に良い食材と丁寧にこしらえられた料理は、いつの時代にも美味しいものです。

最後はコーヒーと共に小菓子。そして支配人とのフランクな会話が、レストランでの楽しいひと時を一層思い出深いものにしてくれました。

サービスは折り目正しく男性的。でも、隣の老婦人おふたりのテーブルに対しては、ソフトで親しみのある接し方でしたので、それぞれの客に合ったサービスを心がけているのかもしれません。

素晴らしい店なのに、今ひとつ話題にのぼらず、目立たない存在なのが不思議。それを逆に考えれば、穴場中の穴場と言うこともできます。ホテル内レストランの最高峰として、自信を持っておススメできる店です。