時折、無性に食べたくなる蟹クリームコロッケ。最近はデパチカにも美味しいと評判のコロッケ店があるようですが、ただ美味しいだけではなく、落ち着いた数寄屋造りの店で、上品なサービスとともに味わえるコロッケが私のお目当てです。
その私好みのコロッケを扱っているのが、「大和屋三玄」。昨年の4月にもご紹介し、その際の献立にも蟹クリームコロッケが含まれていましたが、たった一個だけで、ちょっと物足りなさがありました。
それから9ヶ月。やっと再び訪れる機会に恵まれ、二個のコロッケにありつくことができました。
いわゆるグランドメニューには載っていない、ちょっとした隠れメニュー的な「蟹クリームコロッケ膳」は、4,620円。先附や旬菜、食事、デザートの付く、コース仕立てで提供されますので、カジュアルな会食にも十分対応できる内容です。
先附は「寄せ湯葉」。豆腐とどう違うのかと思いつつ味わいましたが、湯葉を豆乳でつないだ感じの、独特の舌触りでした。
旬菜は「味噌大根」。
そしてお待ちかねのコロッケ膳。二段重ねで、上段には造りやあえ物など、下段にはコロッケがふたつ盛られています。同時に白ごはん、赤だし、香の物が運ばれました。
デパートで売られているコロッケは、確かに衣がサクサクしていますが、衣の内側に何かあやしげな加工がしてあるようで、違和感を覚えます。でも、こちらのコロッケは小細工なしですが、とても軽やか。中は濃厚です。トマトベースのソースがよくマッチし、白ごはんがよく合います。
デザートは「牛乳寄せ」。きな粉をまぶした和風仕立ての杏仁豆腐のような感じでした。
客層はさすがに年配が中心ですが、それだけに落ち着いた風格が漂います。私もこんな雰囲気の店が居心地良く思えるようになったほどに歳を重ねたんだなぁと、しみじみしてしまいました。食後の煎茶が美味しい、ひとりぼっちのランチタイムでした。