大阪での予定を終え、東京へと戻りました。
たった3日間東京を離れていただけなのに、まるで月まで行って帰ってきたような気分です。迎えの車で自宅に戻り、扉を開けたとたんに溜息が出ました。
地震後、初めて帰った部屋では、食器棚や書棚が倒れ、破損したものが床を埋め尽くしていました。
祖母より譲り受けた大切な食器も、使いものにならなくなってしまいました。でも、壊れたのは私の心でも体でもなかった。今は、それに感謝したいと思います。
壊れた食器たちは私に「振り返らずに、先へ進め」と言っています。また、思い出の詰まった品に、背中を押してもらいました。
大切な楽器の鍵盤にもダメージがありましたが、傷を負った今でも、美しい音を聞かせてくれます。
ひたすら片付けをしていますが、なかなか先が見えません。同時に、演奏会の準備も進めなければなりません。
それよりも、今の私は、とにかく今の心のありようにマッチする曲をいつまでも弾いていたくて仕方がありません。たぶん、私の言葉よりもずっと多くのものを伝えられるような気がしますから。