チャリティーディナーから一夜明け、18日は小樽観光の時間を取りました。私は何度となく小樽を訪れていますが、あとのふたりにとっては初めてのディスティネーション。時間は限られていましたが、いくつかのスポットを訪ねてみました。
まずは定番中の定番、小樽運河へ。私が前回訪れたのは2月7日。その時は深い雪に覆われた運河で、幻想的な「雪あかりの路」が開催されていました。
今は、ほとんどの雪が解けています。気温は6度。パラパラと雨が降り、ちょっと肌寒い気候です。
それより何より、これほど人の少ない運河は初めて見ました。周辺のお店は商売あがったりでしょう。観る者にとっては、誰にも邪魔されずにムードを独占できるのが嬉しいのですが、心配の方が上回っていました。
ツァオ・レイは運河沿いの倉庫に興味を持った様子。あとでじっくり覗いてみたいと言っていました。
ランチタイムは運河沿いの「福鮨」。このブログでもお馴染みの鮨店です。ツァオ・レイもYONEちゃんも、小樽の寿司を非常に楽しみにしていました。
なのに、昨晩終演後のレセプションでは、コース料理をほぼ二人前ずつ食べ、しかも朝食まで食べて来たらしく、福鮨に入る前から「お腹いっぱい」と嘆いていました。だから、朝は控えめにって言ったのに・・・
でも、さすが若者。食べ始めたら、爽快な食べっぷりです。大将が次々に出してくれる北の旨い魚に、ふたりともエキサイトしていました。
あれ?YONEちゃんはワサビがダメだったはず。なのに、今日はサビ入りで食べています。オトナになりましたね。
ツァオ・レイはウニやイクラが大好物。また6月にウニが解禁されたら、岩内のウニ丼を食べさせてやりたいものです。
福鮨を後にして、小樽の絶景ポイントへ。そこは日和山灯台を見下ろす、祝津の展望台。すぐ後ろにはホテルノイシュロス小樽があります。ワイルドな海から崖すれすれに舞い飛ぶカモメが印象的です。
続いて、余市まで足をのばし、ニッカウヰスキー余市蒸留所を見学させてもらいました。現地の受付で申し込めば、誰でも無料で見学することができます。
広い敷地内は、開拓時代の北海道の面影を残し、タイムスリップしたような気分。貯蔵庫や各種設備が並び、ウィスキーが出来るまでの過程を「現物」の施設で見ることができるのが魅力です。
特に心惹かれたのは蒸留棟に並ぶポットスチル。昔ながらに石炭で熱を加えています。そして樽造りの過程ひとつにも、職人芸を感じました。ツァオ・レイは中国語の案内を聞きながら、ひとつひとつ熱心に見ていました。
敷地内には、この工場で生産されたウイスキーを無料で試飲できる会場が設けられています。その試飲会場も、リゾートホテルのように雰囲気よく造られており、周囲の環境と合わせてウイスキーを味わえます。
私はここ余市で造られたシングルモルトを試飲しました。スモーキーでさっぱりとした表情を持ちながら、栗のハチミツを思わせるような濃密さが感じられました。
これまではスコッチのシングルモルトと決めていましたが、これからは余市にも浮気してみようと思います。
ほろ酔い気分で余市を後にし、まだ雪が残る毛無山へ。途中、ツァオとYONEちゃんはぐっすりでした。
目覚めた瞬間に雪の山を見て歓声を上げるふたり。車から飛び降りるなり、雪山めがけて駆けのぼっていきました。
まだスキーをすることもできるそうです。ツァオはスキー未体験らしく、いつか挑戦したいと意気込んでいました。
その後、ツァオとYONEちゃんを運河沿いに落とし、私はホテルに預けてある全員のバゲージをピックアップし、夕食会場へと運びます。
荷物を積み終わり、ホテルを後にしたら、今度は小樽駅に行って、帰りの鉄道指定券の手配です。駅の窓口に並んでいると、ツァオから電話。
ホテルの部屋に大切なアクセサリーを忘れたかも・・・今気付いた・・・とのこと。すぐにホテルに電話をし、あることを確認してから、もう一度ホテルに戻って回収してきました。
すべての段取りが終わったところでツァオに電話。どこにいるのか尋ねると、北一硝子三号館の喫茶ホールでコーヒーブレイク中だとか。では、そこに迎えに行くねと言って、北一ガラスに向かいました。
そこはランプの光がロマンチックな喫茶ホール。ステージにはスタインウェイのフルコンサートピアノがあり、時折演奏会も開催されています。
私が喫茶ホールに到着して中を覗いた時、誰もいない様子だったので、閉店中なのだろうと思いました。なぜなら、いつもなら行列しなければ入れないほど賑わっているから。
では彼らはどこに?もう一度電話を掛けると、店内にいると言うのです。「今見たけど、いないじゃない。」「じゃあ、店の外まで出てみるよ。」
そんな会話をしている途中で、中から彼らが顔を出しました。壁際の目立たないテーブルに座っていたようです。それにしても、この喫茶ホールが貸切だなんて、信じられません。日中の山手線に自分ひとりしか乗っていない的な違和感です。
これほどまでに観光客が少ないとは。。。一日も早く賑わいが戻ることを願うばかりです。
出発前には「海猫屋」で、最後のミール。まことさんが張り切って腕をふるってくれた料理は、どれも愛情たっぷりの味わい。
ツァオもYONEちゃんも、まだ寿司が残っていてこれ以上は無理と言いながら席に着きましたが、しっかりたくさん食べていました。
このスリーメンズアンサンブル結成を、淡い希望から現実のものへと進化させてくれたのは、ここに写っている小樽の皆さんです。これで全員ではありませんが、小樽の皆さんたちの熱意と抱擁がなければ、私たちのアンサンブルは今も夢の中でしかありませんでした。感謝感激です。
帰りの列車内からは、暮れゆく海が見えました。新しいアンサンブルの前途を実感しつつも、ひとまずこれでお別れというのが寂しくて、皆、ちょっと無口になっていました。
また近い将来に、この3人でのアンサンブルをお届けできますように・・・