synchronized breathing

シンクロナイズドスイミングや、ブルーインパルスのアクロバット飛行のように、ぴったりと動きの合ったパフォーマンスを実現するには、研ぎ澄まされた感覚と気の遠くなるような反復練習が必要です。

アンサンブル演奏においても、同じ音楽を乱れなく奏でるには、高い協調性が求められます。

息の合った演奏を実現するには、相手の動きや出方を完全に感じとることが欠かせませんが、そのためには、自分のなすべきことを体にしっかりと刻み込んでおかなければなりません。

また、演奏は気分や環境によって、その都度大きく変化しますので、稽古通りに物事が進むとは限らないという構えを持つのも大切です。

最近、エレクトーンステージやフェスティバルで、エレクトーンアンサンブルの演奏を聞く機会が増えましたが、そこでしばしば感じるのは、互いに対する意識が欠けている演奏が多いということです。

チームで呼吸や気持ちを合わせてひとつの音楽を「奏でる」というより、何かに操られて鍵盤を「操作」しているかのように見えるのです。

聞こえている曲は、ずれているわけでもないのに、合っているという感じがしません。

しまいには、ひとりで弾くには面倒なことを、とりあえず手分けして弾いたとしか見えない・・・そんなふうに思わされてしまいます。

私は、ソロで弾く時ですら、まるで多くの人がアンサンブルしているかのような複雑な呼吸感を表現するよう努めています。

それがアンサンブルともなれば、互いに別の役割を担いながらも、それを支え合い、響き合わせることで音楽を完成させていきますが、「ああ、ひとりで弾いているのではない!」という感覚は、時に天にも昇る歓びです。

アンサンブル演奏を通じて弾く歓びと合わせる歓びを同時に満喫するには、反復練習よりも、その時の音楽の流れを瞬時につかみ、その先の出方を適切に判断できるよう、直観力に磨きを掛けることが重要かもしれません。

せっかく仲間たちとアンサンブルをするのなら、互いの呼吸や動きに意識を馳せ、見事に融け合った音楽を奏でるように心がけましょう。

今年は、音ばっかり立派なのに心が伝わらないような演奏ではなく、見るからにぴったりと合っているアンサンブルがたくさん聞けるように願っています。

さて、都心ではソメイヨシノが散ってしばらく経ちましたが、まだしだれ桜など、遅咲きの桜がこれから盛りを迎えようとしています。

新緑も美しくなってきました。都心ではせっかくの新芽もあっという間に排ガスまみれになってしまいますので、こうした鮮やかな若葉色が楽しめるのはほんの束の間です。