19日の香川は好天に恵まれ、気持ちのいい一日でした。ホテルから会場へ向かう車窓の眺めはなんとも穏やかで、空気が美味しいことが目にも見えるほど。会場のアイレックスは、静かな田園風景の中に堂々と建っています。
リハーサルは前日に済ませていたのですが、一度も鍵盤を触れないままに本番というのはさすがに不安だったので、舞台袖に置かれたエレクトーンにヘッドホンをつないで軽くウォーミングアップを。その間にも、ステージではコーラスグループが次々とリハーサルを進めていきます。それぞれに工夫を凝らした演目から楽しい雰囲気が伝わってきて、きっと本番はおおいに盛り上がるだろうと感じられました。
開場前に外に出てみると、長蛇の列が。ついさっきまで鳥の声しか聞こえなかったのが、にわかに賑わってきました。あっという間に駐車場がいっぱいに。いよいよ開演です。トップバッターは入学前の子供たちによるステージ。ほのぼのした雰囲気に包まれました。トリを務めたこんぴら合唱団まで、14組のグループが熱演を繰り広げ、客席から惜しみない拍手が溢れるのが舞台裏にまで響いてきます。
そして私の出番。今回は音楽祭の20回を記念したゲストとして招いてもらい、20分ほどの演奏をお届けしました。長い待ち時間の後での演奏は、特に神経を使うことが多いのですが、今回は強力なサポートがあったおかげで、安心して演奏することができました。溢れる気持ちを音楽に乗せて。広いホールいっぱいに響き、私の元に戻って来る音は、とても心地よかったです。
最後は綾歌吹奏楽団の皆さんとの共演。やはり生の楽器の音が重なっていくハーモニーは、嫉妬せずにはいられない美しさです。それでも団員の皆さんはエレクトーンの音色も温かく迎え入れててくれ、楽しいアンサンブルができました。
この、あやうた音楽祭、20回続いていることがまずもって素晴らしいです。皆さんの熱演を聞いて納得。運営の皆さんの努力する姿を見て納得。お客様の温かさに触れて納得。そしてもうひとつ、これだけ大人数の出演者が関わりながら、段取りが乱れることもなく、これぞ誇るべき日本の秩序だと思いました。
演奏後には、子供たちが作ってくれた記念品をもらいました。ピアノをかたどったプレートに「おんがくだいすき」とクレヨンで書いてあります。帰京して、早速アトリエのエレクトーン前に飾りました。そこにはこれまであちこちでいただいた色紙やメッセージプレートがすべて飾ってあり、稽古で苦しい時、それを眺めて奮起します。リサイタルまであと19日。全力投球で行きます。