THE NAHA TERRACE

沖縄に来ました。昨年の同じ時期に訪れた時は、梅雨入り前で晴れ間も見えましたが、今年は4月のうちに梅雨入りしてしまいました。どんよりと曇っていて、5月の沖縄にしては肌寒いくらいです。

旅先のホテル選びはいつも念入り。興味を満たすことと喜怒哀楽のネタというふたつの目的のために、できるだけ泊まったことのないホテルを探します。でも、那覇で泊まるホテルは、いつもほとんどナハテラスです。

それはなぜかというと、ズバリ、ナハテラスの心地よさは、他では味わえないからです。私にとって快適だからといって誰もが共感してくれるとは限りませんが、私と同じようにこのホテルの大ファンだというお客はとても多いようです。

まずはロケーションが素敵。いわゆるダウンタウンにあるのではなく、周囲は那覇屈指の高級住宅街という落ち着いた環境にあります。今では裏手が新都心として開発されましたが、開業当時は本当に静かでした。

次に建物が素敵。丘の上に建つ真っ白なホテルは、遠くから見てもエレガント。センスよく、かつ立派に造られているので、もう四半世紀も経つというのに、色あせることがありません。

内装も素敵。ロビーは総大理石。カーブが美しい階段には真鍮の手すりがありますが、いつでもピカピカに磨きあげられています。

客室も温もりがあって上品。すべての壁や角を丸く整えてあるので、全体がやわらかい印象です。

規模が素敵。145室というこぢんまりとした規模なので、館内がわさわさすることがありません。屋外プールも小さいのですが、混むことは滅多になく、気の向くままに過ごせます。

食事も素敵。洋食、和食、鉄板焼と揃いますが、私のイチオシは和食。料理長の見事な腕前を、手ごろな値段で満喫できます。洋食のランチブッフェもおススメです。

そしてサービスが素敵。私は25年間愛用していますが、今でも25年前と同じスタッフが迎えてくれます。その人たちはもうかなり偉くなりましたが、必ず顔を出してくれて、会話を楽しんでいます。若いスタッフも、気品のあるサービスを心得ており、中でもクラブフロアの係はたいへん優秀です。

こうしたたくさんの「素敵」が、絶妙なハーモニーとなって、旅人を魅了し続けています。私が沖縄に行きたくなるのは、ここにこのホテルがあるから。ある意味、25年来の遠距離恋愛のようなものです。

今回は1泊だけですが、だからこそ、一瞬ごとの感覚をしっかり記憶に刻んで過ごしたいと思います。