St Regisは100年以上の歴史を持つニューヨークの名門ホテルの名を冠した、スターウッドが展開するホテルブランド。昨年には大阪に開業し、話題になりました。
このSt Regisという綴りは、英語読みすれば「セントレジス」。今はこの読み方で通っていますが、ニューヨークでは「サンレジ」と仏語読みをしばしば耳にします。
この豪奢を極めながらも高度な洗練を香らせるホテルには、後者の方が相応しく感じられることもあって、ホテル通や得意客からは、今でも「サンレジ」と呼ばれています。
東南アジア初のSt Regis開業地として選ばれた場所がシンガポール。東京のフォーシーズンズや上海のウォルドルフアストリアがそうであるように、新しい地域に進出する初のホテルには、相当の気合いを入れて存在をアピールするので、St Regis Singaporeもまたたいへん立派に造られています。
ホテル内にはいくつかのダイニングやバーがあり、朝食は1階にある「ブラッスリーレサブール」で提供されています。
この店は朝食、昼食、アフタヌーンティ、夕食と、4つの時間帯に区切って営業しています。いずれの時間帯でも、きちんとしたテーブルセッティングと、折り目正しいサービスが提供され、どのような目的の食事にも対応してくれます。
朝食時はロビーラウンジも開放。
店内は高い天井を持つオーバル型をしたホール空間になっており、装飾は華やかで豪勢ながらも上品な雰囲気。天井から下がるシャンデリアが印象的です。
店の中央にはステージがあり、時間帯によっては生のバンド演奏が入りますし、週末はお客がダンスを楽しめるフロアも用意されるとか。窓際の席からは、隣にあるレジデンスのプールが眺められ、リゾートのようです。
でも、私が気に入ったのはセミコンパートメントのようなテーブル。まるでオペラの桟敷のようなロケーションから、店内でお客とスタッフが繰り広げる「お芝居」を見物できるのも一興です。
朝食はブッフェスタイル。新聞を読みふけるビジネスパーソン、パワーチャージするアクティブ志向、のんびりとくつろぐファミリーと、さまざまな客層が集まります。
ブッフェカウンターは数か所に分かれ、朝食に求められるありとあらゆるものが揃っています。調理人が立つエッグステーションは2か所。好みの卵料理はそちらで。他にパンケーキやワッフルなどはオーダーすればキッチンで作ってくれます。
食器のセンスも見事なもの。ただ、ホテルロゴの入った銀のポットで運ばれるコーヒーはさぞや美味しいのかと思いきや、そうでもありませんでした。むしろまずかったです。
ローカル料理やトロピカルフルーツ、マレー菓子など、東京ではなかなか味わえないアイテムを中心に欲張ってみました。この国のライフスタイルは私に合っているのかもしれません。どれも美味しく感じました。
食後は一休みの後、ホテル4階にあるルーフトッププールでスイミング。ちょうど、「ブラッスリーレサブール」の真上にあるプールです。たっぷりと日が当たる時間は限られているので、タイミングを見て出掛けました。
プールサイドに植物が植えられていたり、浅い水の上にデッキチェアが置かれたりと、ゆったりとリラックスできる造りになっているばかりでなく、約27メートルの直線が取れるので、思い切り泳げます。
上昇や発展をイメージする噴水や、安息を思わせるアートワークがあり、パラダイスの雰囲気。プールサイドサービスも充実しており、ミネラルウォーターやスプレー、カットフルーツなどを配ったり、何かと細やかに気を遣ってくれたりします。
これほど心地よい場所なのに、人はまばらです。これが東京のホテルなら、屋外プールの入場に何千円も取られ、しかもイモ洗い状態。こちらは無料でこの快適さ。やっぱりここはパラダイスです。