和歌山でのソロコンサートから明けた日曜日の午前5時。いつも通りに目覚めてホテルの窓から外を眺めると、和歌山城が朝日を浴びて、まるで森に浮かんでいるかのよう。早速ウェアに着替えて、堀の周囲をランニング。気分爽快です。
朝食の後は、身支度をして終日の稽古。今日は宮井楽器の代表としてコンクールの和歌山地区大会に出場する子どもたち+フリースタイルのおとなの総仕上げ。ここからが正念場です。
前日にはコンサート会場だった楽器店内ホールが稽古場。まだコンサートの時のままの状態ですが、ステージでの演奏を控えた皆さんのレッスンにはその方が好都合です。
楽器店スタッフの皆さんも、前日のコンサート成功を喜んでくれ、朝からとてもいい表情をしているのが印象的。こうして自分自身のイベントのように愛情を持って取り組んでくれるのが何とも嬉しくて、私もいい気分でした。
さて、レッスンを受ける子どもたちはというと、これまた見違えるほど生き生きとした明るい笑顔で登場。意欲的で才気に満ちていますし、演奏も急に冴えを増して、説得力のある弾き方になりました。やはりコンサート鑑賞が、大きな刺激になったようです。
日頃から口を酸っぱくして、もっとパワフルに!もっと繊細に!もっと弾けて!もっと丁寧に!と矛盾だらけの要求をぶつけて来ましたが、私がそれを実践している姿を見てもらうのが一番の近道なのかもしれませんね。
でも、一方でちょっとした心配もあります。子どもたちは、弾いていてより気分のよい曲を求める年ごろですが、それを楽しむと同時に基礎的なテクニックや読譜力、音楽的な解析力なども身につけて欲しいですし、幅広い音楽にたくさん触れることにも勤しんで欲しいものです。
弾けるようになった曲は、「友だち」のようなもの。うわべだけ知って、友だちのことを理解したようなつもりになると、浅はかだと思われかねないのと同じで、弾く曲のことも、親友と同じように深く理解する方がいいと思います。
そして世界中の音楽を知れば、国境を超えた友だちがたくさんできたかのように楽しくて豊かな気持ちになれるかもしれません。
動作も発想も柔軟な時期に、しっかりとした基礎力を身につけさせるにはどうしたものかと日々頭をひねっているところですが、何とかしてより自在に音楽と触れあったり、思い通りの演奏をさせてやりたいものです。