日曜日の夕刻は、渋谷で開かれた松本淳一さんら3人が出演するコンサートへ。本日のブログタイトル「静謐な色彩園」は、ご案内にあった松本淳一さん自身のことば。まさに、その通り音世界がそこにありました。
テルミン。オンド・マルトノ。電子楽器や現代音楽に興味のある人でなければ、あまりピンとこないかもしれません。これらはいずれも20世紀初頭に登場した、電子楽器の黎明期を飾る楽器の名前です。
そういう私も詳しくは知りません。今回のコンサートで演奏される曲は、すべて松本淳一さんの作品。奏でるのはピアノに向かう松本淳一さんの他、テルミンのトリ音さん、オンド・マルトノの久保智美さんの3人です。
舞台の構図としては、4月13日にエレクトーンシティで行ったスリーメンズコンサートに似ていて、二胡がテルミンに、エレクトーンがオンド・マルトノに置き換わった感じ。
でも、似ているのは舞台の構図だけで、テルミンやオンド・マルトノが奏でる音は、他の何ものでもない個性に満ちていました。
いずれも非常に表情豊か。そして不思議な温かさがじんわりと広がっていくような感じです。楽器というツールを操っているというより、イキモノの生理的な反応を巧みに引き出している、例えるなら鷹匠の業を見るようでした。
松本淳一さんの音楽に、ピュアさや、何ものにも縛られない自由さを感じるのは私だけでしょうか。描かれた静謐な色彩園は、私が過去に置き忘れてきたものと共鳴し、いつしか胸が詰まる思いに。
さて、私が松本淳一さんに委嘱した新曲は、10月14日のリサイタルで初演します。何もかもが、私にとっては未知の世界。さて、どうなりますことやら。ご期待下さい。そう言い切って、自分を鼓舞することにします。