初めてのサマーコンサート

8月23日に開催した香川県での教え子によるファーストコンサートは、大盛況のうちに終えることができました。この日の経験は、出演者にとって一生の思い出となることでしょう。

会場としてご提供いただいた「ピアノカフェ ルフラン」では、午前10時からコンサートの準備をスタート。

店内のレイアウトを変えたり、イスを運びこんで並べ、次第にコンサート会場らしい雰囲気になってくると、演奏者たちの気分も盛り上がってきます。

十分に時間を掛けながら入念にリハーサルをして、いよいよお客様をお迎えする時間に。

会場内には徐々に活気が満ちていきます。それが楽屋にも伝わってくると、出演者たちにいつにない緊張が高まって来ていることが、そばにいる私にも感じられます。

今日の演奏者は、コンクールやイベントなど、人前で演奏する機会には恵まれている方なのですが、やはりコンサートとしてお客様にお聞かせするとなると、まったく違った気分になっているはず。

ひとりひとりが約30分、複数の曲でプログラムを構成していますので、1曲入魂のステージとは次元の違う自己コントロールが必要です。

自分たちの演奏を聞くために集まって下さったお客様に、ぜひ喜んで頂きたいと願いながらも、それを実現する力が自分にあるかどうか・・・

まだ自信もありませんので、きっと待ち時間には恐怖も感じていたことでしょう。

でも、私がコンサートを実施したねらいは、そこにあります。

お客様を音楽でおもてなしするという気持ちで、心地よい時間を創造することや、長丁場のステージをバランスよく演じるための自己コントロールを体験し、精神的にも音楽的にも大きな手応えをつかんで欲しい。

口でノウハウを説明しても、こればっかりは体験しなければわかりません。

さて、満場のお客様に見守られながら、コンサートはスタートしました。至近距離にお客様が迫っているという状況での演奏も、出演者には初めての経験です。

緊張や戸惑いもあったでしょうけれど、3人の出演者たちは、それぞれによい演奏をしてくれました。私が最も感心したのは、3人とも本番での演奏がリハーサルよりもずっとよかったことです。

お客様のエネルギーを自分に取り込んで、それを自分の音楽に替えて思い切り放っている様子は、見ていてとても頼もしくも感じられました。

お客様には心のこもった惜しみない拍手を頂き、それもまた出演者たちの心に深く刻まれたことでしょう。そして、3人の音楽人生において、この日の体験は一生の礎となったはずです。私も、幼稚園を会場にして開催してもらった最初のソロコンサートのことが、今でも大きな支えになっています。

どんな困難があっても、あの日に始まったことを、今日ここで途切れさせるわけにはいかないと、初心を思って奮起することしばしばですから。

終演後の、出演者たちの一皮むけた表情が印象的でした。これからの成長に、大いに期待を寄せたいと思います。