友こそが救い

今こそ稽古に励まなければならない時期だというのに、気持ちを落とす出来事が重なってばかり。焦るという段階はとうに越し、笑うしかないと思いつつ、笑えない日々を送っています。

そろそろ潮時かと考えもしましたが、まだすべきことが残っており、未練もあります。少なくとも、決めたことを途中で投げ出すわけにはいきません。いくら予定が狂ったとしても、成し遂げるべきなのです。

私は人との出会いにたいへん恵まれていると自負しています。周りには素晴らしい人がたくさんいますし、このブログにも気持ちのよい人が集まってくれています。

でも、私は友人を頼るのがとても下手です。頼めば何だってしてくれるとわかっているのですが、だからこそ、面倒を掛けたくないと考えてしまい、切り出せません。

ひとりで好き放題してきた者が人を頼るという、決まりの悪さもあるのかもしれません。

でも、実際のところ、私の苦しい局面では、いつだって周囲の人たちが助けてくれます。時にさりげなく、時に力を合わせて。そうでなければ、一匹狼なんて、とうに野垂れ死にしていたでしょう。

そして、救いの手は、いつも絶妙のタイミングで差し出されます。ノックアウトの最終ゴングが鳴る寸前。もはやこれまでと意識が遠くなる中での登場です。

今回も、私は厳しい状況にありますが、これまで越えて来た苦境に比べれば大したことではなく、今のところ救いの手は必要ないと思っていました。

そんな中、今日は思いがけないタイミングで気持ちを救われました。古い友人が、「コンサートに行くよ」と連絡をよこしたのです。

その人は、かつて私に散々振り回され、人生を台無しにされました。なのに、今でも私を憎まず友と慕ってくれます。

数ある客席のひとつが埋まる。それだけの出来事かもしれませんが、私にとってはまさに救いの出来事。心の中に新しいパワーが芽生えたことも確かです。励ましの言葉も嬉しいですが、やはり現場を見守ってくれることは格別です。