張家界でのコンサートも4日目。すでにほとんどの出演者やスタッフたちと顔馴染みになり、楽しくやっています。私が張家界に来て最も好天に恵まれた13日は、水繞四門の特設ステージのコンサートに出演しました。
奇岩が連なる独特の景観は、張家界のどこにいても眺められますが、似ているようでいて、それぞれに表情が違います。
前日に訪れたところは森に囲まれた雰囲気でしたが、こちらは奥入瀬のようでもあり、深い渓谷の底のようでもあります。
さて、今回のコンサートは私の出番がラスト。待ち時間を利用して、今回初めて観光スポットを見物しました。
出番前には戻らなければならないので、なるべく近いところで、かつ、張家界らしい場所を希望したところ、ちょうどすぐ近くに展望台があるというので、そちらに行きました。
展望台へはエレベータを乗り継いで向かいますが、上り口から見上げる景色にすでに圧倒されます。
さらにたまげたのは、エレベータの外観。崖っぷちに取り付けられたシースルーエレベータではありませんか。まあ、何らかの形で覆われている乗り物や建物なら大丈夫でしょう。
乗り場では美しい小顔のお嬢さんが案内してくれます。エレベータは2階建で上下合わせて一度に50人が乗れるそうです。
エレベータは328メートルを2分弱で上がっていきますが、その間、大きなガラス窓からの景色に足がすくむ思いです。
でも、怖いのはエレベータを降りてからでした。展望台への階段は、手すりこそ設置されていますが、その向こうは数百メートルの断崖です。
一瞬覗いて見ましたが、血の流れが止まってしまうかと思うほど。展望台ではさらにドキドキのパノラマが広がり、高所に怯えながらも天空に達したような心地よさに包まれました。
本当の恐怖はまだ先にあるのだとか。そそり立った奇岩が上部で接合してできた天然の橋「天下第一橋」は、高所恐怖症にとどめを指す絶叫ポイントだそうですが、そんなところに行こうものなら、私は二度と演奏できなくなりそうなので、序の口の展望台で引き返すことに。それで正解だったと思います。
ここは今でこそ中国を代表する観光地になっていますが、この地のいにしえの暮らしを思うと、どこからともなく素朴で温かい旋律が聞こえてくるような気がしました。
コンサートに会場に戻り、予定通りに演奏を。今回もまた、山々との対話を楽しみながら弾いた感じです。
今回、ガイドをしてくれたのは張家界市中国旅行社の方。とても明るいですし、責任感が強く、一緒にいて本当に気持ちのいい人です。
あと残すは1日だけ。そう思うと、ちょっと寂しくなってきます。張家界でのラストミッドナイトは、トルコからの楽団と交流を持ちました。
レベカやジュイランなどの複雑なリズム、何とも言えない微妙な音程感が心地よい旋律、エキゾチックな楽器を巧みに扱うスーパーテクニック、そして、どんな国の人とも融け合う柔軟性・・・どれもが魅力的でした。
世界の音楽をより深く知ることで、新しく見えてきたものがたくさんあります。そして、エレクトーンで奏でる音楽も、世界の皆さんに日本の洗練度を強く印象付けられたように感じているところです。