18日はジュニアエレクトーンフェスティバルの大阪ファイナル大会の応援に。子どもたちの熱演はどれも生き生きとしていて、弾く歓びに溢れていました。
数分間という限られた時間の中で、一年間を費やして準備したものを披露するわけですが、なかなか思い通りの演奏を実現するのは難しいものです。
気負い過ぎてもいけませんし、かといって楽に構え過ぎても波に乗れません。日頃の丁寧な稽古とともに、その場で上昇気流を掴めるかということも、結果に大きく響いてきます。
よく「本番に強い」という言い方をしますが、プロフェッショナルな演奏家であれば、これは必須条件のひとつです。人間ですから、多少の良し悪しがあるにしても、常に水準以上の演奏をお届けしなければなりません。
私自身も本番には強い方です。不要な緊張はしませんし、どんな状況であろうとも、勢いに乗りながら落ち着いて演奏することができます。
そのコツは、演奏に不要な事柄をすべて舞台袖に置き去りにすることです。ステージに一歩踏み出した瞬間に、自分があたかもこのステージで演奏するためだけにこの世に生まれたという気持ちで、そこにすべてを注ぎます。
自分のステージを自分の世界観で染め上げ、確固たる説得力を示すのは至難の業でもありますが、それが実現した時の心地よさはたとえようもありません。
やはり本番に強い人というのは、集中力が違います。それはまるでアドレナリンの分泌を自在にコントロールできるのかと思うほど。つい今しがたまでフツウの人だったのに、いざ舞台に立つと別人のように生き生きと輝いたりもします。
そして楽しみ上手。仮に不都合な事柄が生じても、それを武器にしてしまうほどの柔軟性を持っていますし、そもそも、事故などどうでもいいことだと思えるほどに、強烈な音楽の奔流を生み出す力を持っています。
さらに、自分を魅力的に見せる天与の術を備えており、ことさら飾り立てたり気取ったりしなくても、十分に人目を引き付けるオーラがあります。
そんな才能や素質に恵まれた人たちでも、やはり日頃の稽古は欠かせませんし、時折スランプに陥ることもあります。また、努力をせずに一流で在り続ける人などいませんし、一度築いた水準を維持するのは、上を目指して努力を重ねるよりもずっと困難なことです。
芸術はゴールのない営みだと表現されることがありますが、まさにその通り。音楽の追求は、人間の一生ではまったく足らないことは明白ですが、それでも真の音楽に一歩でも近づきたいという強い願望が、より深遠な世界へと踏み入れる勇気を与えてくれるのです。