それぞれのたそがれ

今日のコンサートは霧島市の小学校と鹿屋市の中学校の2回。年齢が違えば演奏会の雰囲気も大きく異なりますし、霧島から鹿屋までを限られた時間内で移動し、準備を整えなければならないので、今週の中では今日が最もハードなスケジュールです。

午前中に演奏会をした日当山小学校の裏手には、天降川が流れています。校舎のすぐ近くに広い空と豊かな自然を感じられる場所があるなんて、とてもうらやましい環境ですね。

あどけない子どもたちと音楽で過ごした時間はあっという間でした。終演後にはご担当の先生から「私もエレクトーンを弾いていました」という嬉しい話。ご自宅にはEL-90があるものの、最近はあまり触ってないとのことでしたが、今日の演奏を聞いて、また弾きたくなったと言ってくれました。

霧島から鹿屋までは約2時間のドライブ。途中、さっとランチを食べて、少しでも早い現地到着を目指します。

到着したら、すぐにセッティング。でも、鹿屋中学校の体育館は想像を超えた深い響きの空間です。なんと、残響は10秒以上。キャニオンのような余韻です。

この空間で音楽の輪郭が崩れないように届けるにはどうしたらいいか。すぐさま考えられる限りの対応をとりました。

そのひとつとしてすべてのカーテンを閉じたのですが、その結果、コンサーとホールのような、すてきな空間に変身。

響きも光もだいぶ落ち着いたことで、私たちも聞き手も、より音楽に集中できるようになったことは確かです。でも、気分よく演奏できたもうひとつの理由は、中学生たちの鑑賞能力の高さにありました。

男子学生の礼儀正しさや、女子学生の奥ゆかしさは、最近失われつつあるもののひとつかもしれませんが、鹿屋中学校にはそれがよいかたちで息づいています。

今日も2回とも気持ちのいい演奏ができました。あとは宿に戻って明日のために体力リカバリーです。明日はいちき串木野市での演奏なので、今夜のうちに近くまで移動。

鹿屋から垂水港へ行き、フェリーで海を渡ります。船に乗ったのは黄昏時でした。雲が低く、今にも雨が落ちて来そうです。波多江さんと米津さんは、船内のうどんコーナーで腹ごしらえ。

一方、エージェント西村さんは船尾に佇み、なにを想っているのでしょうか。見果てぬ夢も、たそがれも、ひとそれぞれ。私は船内パトロールにいそしみ、見知らぬ人の表情を見て過ごしました。