ふたつの交響詩

鹿児島県の学校巡回トリオコンサートは今日が最終日。やっと緊張感がほぐれ、アンサンブルが絶妙になってきたばかりで、名残惜しさが深まるばかりです。

今朝から天気は下り坂。昨晩チェックインした宿の窓からは、はるか海の向こうに懐かしい甑島のシルエットが見え、それに導かれるようにして海辺を散策。ほとんど人に出会わず、静かな時間を持つことができました。

午前中訪ねた小学校では、子どもたちが動物の世話をしている場面に遭遇。用意された食事を夢中で食べている様子を見ていたら、なぜかTANEちゃんを思い出しました。

1回目を終えて、移動の途中に高速のサービスエリアでランチタイム。そして食後はもちろんソフトクリームです。紫芋味を選びました。

すっかりパワーチャージも済み、ほどなく午後からの学校へ到着。敷地内にはさまざまな樹木があり、そのほとんどに種別や名前が書かれたプレートがついていて、さながら植物園のようです。

校庭には美しく色づいた木々があり、それを見つめていたら、ふとどこか遠くへ思いを馳せたくなりました。

会場ではセッティングやリハーサルが進み、校内にもやんわりと音楽が流れていきます。

トリオコンサートは、いつも私のソロでスタートします。そしてピアノソロ、ピアノとエレクトーンのデュオ、サクソフォンとピアノのデュオと繊細な演奏が続き、その後トリオアンサンブルで一気に盛り上げます。

オープニングの曲はいつも迷います。特にこれと決めず、その日の環境、気候、雰囲気を見ながら考えるのは、ソロコンサートの時と同じです。

今日は、午前中に禿山の一夜、午後はモルダウと、それぞれよく知られた交響詩を選びました。

小学生にいきなり10分以上のクラシック作品を聞かせるには、弾く側の覚悟が肝心。弾き手の集中力が、そのまま子どもたちの集中力にシンクロするからです。

前菜なしにいきなりメインディッシュみたいな流れですが、コース料理の全貌をしらずに食べ始めたら、メインになるまえにお腹いっぱいになるのと同じで、最後にとっておきを出しても、最初の集中力を再び取り戻すことは難しいのです。

はじめはちょっとお行儀よく、でも、気がつけばハイテンションな盛り上がりになっている。そんな尻上がりなコンサートです。

さて、いつも九州内での神田将コンサートをサポートしてくれるスタッフのノリさんとは、今日で一度お別れ。私たちが何の不安もなく演奏に集中できるのはスタッフのおかげです。ステージに乗ることはなくても、一緒に演奏しているようなものです。

明日はいよいよ沖永良部島でのコンサート。皆さんに会えるのが楽しみです。