今回で2回目となるエレクトーンによる加古川第九コンサートは、前回より格段の進化を遂げ、大成功に終わりました。より充実したプログラム、より踏み込んだ音楽づくり、そしてより多くのお客様にご来場いただけたことなど、関わった全員の努力が実ったのがとても嬉しいです。リハーサルを含めて2泊3日のスケジュールでしたが、時間が許す限り舞台で弾いて過ごし、残りの時間は皆さんとのコミュニケーションを通じて気持ちが高まるという、充実の3日間でした。
合唱団との第九はもちろんですが、もうひとつ楽しみにしていたのがソリストとの共演です。コンサートの前半にカルメンのコーナーを設け、ソリスト4人それぞれの独唱を披露してもらいました。第九の前に負担の大きなアリアを歌うのはたいへんなことですが、皆さん惜しみなく歌ってくれ、会場はとても盛り上がりました。でも、きっと一番楽しんで盛り上がっていたのは私だと思います。大好きな曲ばかりを次々と弾けるのですから、これに勝る幸せはありません。
休憩を挟んで、いよいよ第九。合唱団の皆さんが舞台袖に整列した頃合いに、両サイドともによろしくお願いします!と声を掛けに行き、自分自身の気持ちも引き締めます。ソリストたちと第一部での共演を通じて打ち解けることができたのも、第九演奏に向かう気分をより特別なものにしてくれました。
ステージに進むと、お客様からの期待や後押しがとても強く感じられました。指揮は昨年と同じ川邊先生。長年、加古川の合唱を支えて来られた偉大な先生です。次の誕生日で80歳を迎えられるそうですが、とても気が若く、そしてなんともお茶目な魅力のあるお人柄。おかげで無駄な緊張をせず、力まず第九に向かえます。
第九本番の演奏は、リハーサルにはなかった気迫と一体感に包まれました。また、本番はどうしても普段より勢いづいて乱雑になりがちですが、とても丁寧に歌っている印象でした。第九といえば、迫力のある大合唱部分のイメージが強いですが、繊細で美しい部分もたくさんあります。今回はそうした神々しい場面がよく際立っていたと思います。
終演後は参加者の交流会です。ご指名のあった人がそれぞれに感想を述べていくのですが、私が最も印象深く感じたのは、今回が初参加という方々の感想です。半年間第九一色の毎日だったこと、不慣れで迷惑を掛けているのではと気にしながらも精一杯歌い大きな達成感を味わえたこと、参加して本当によかったと思えたことなど、皆さんがそれぞれに想いを持って舞台に上がっていたことが伝わり、胸がいっぱいになりました。これからも加古川第九が継続していくことを願います。
加古川を名残惜しく後にして、姫路へ。姫路の労音でも私を大歓迎してくれました。皆さんの手料理の数々が大きなテーブルに乗り切らないほど並び、それらを味わいながら音楽の話で大いに盛り上がりました。これもすべて音楽が私に与えてくれたもの。これからも音楽のために尽くし、音楽の僕として人生を捧げていきます。