レストランにとってクリスマスはピークのひとつ。さまざまな工夫を凝らして、お客の気を引こうと張り切っているかに見えますが、どうも現場と企画のスタッフとでは、温度差があるように思えてなりません。
クリスマス用として特別に用意されるコース料理が、ふだんよりも値段が高いのは、まあ仕方がありません。混雑する時期に、確実に席が確保できるだけでもありがたいと思うべきなのでしょう。
よく愛用しているハイアットリージェンシー東京の「カフェ」でも、22日から25日まではクリスマスディナーコースが用意されており、ふだんなら、席だけの予約が可能ですが、この期間はコース料理でなければ予約を受け付けません。
今回利用したのは、特別な食事を考えていたのではなく、たまたまクリスマスシーズンだったというだけで、単に日常の食事と仕事の打ち合わせを兼ねた会食です。
でも、いつもと違った料理を味わうという意味では、クリスマスコースに興味がないわけでもなく、手っ取り早さもあって、そのコースに即決しました。
コースは2種類。基本的にはほとんど同じ内容で、スープが付くか付かないかの差。スープ付きは10,450円、スープなしだと8,800円です。量的な違いなら少ない方がいいと思い、スープなしの方を注文。
店内は照明が落とされ、イルミネーションやキャンドルの灯りが、ロマンチックに浮かび上がっています。私の感心は、あまり暗いと料理写真が美しく撮れないなという心配だけですが。
午後8時過ぎ、店内はほとんどの席が埋まっています。賑わいはいつものことですが、なんとなくいつもよりも気ぜわしい雰囲気が漂っていました。
料理は次の通り。
“スップリ”ポルチーニ茸のリゾットとモッツァレラのコロッケ
フォワグラと南瓜のトルテッリ アマレッティ
ノルウェーサーモンのニョッキ仕立て 帆立貝のグリルとソース
豪州産ラムのロースト ルッコラセルバティカ
“カッサータ”リコッタチーズとドライフルーツのセミフレッド
パネトーネ
これにパンと食後の飲み物が付きます。料理はクリスマスらしく演出されていますし、このシーズンにふさわしいリッチな味わいが盛り込まれています。
でも、厨房は流れ作業の態勢なのでしょうか、料理の間隔が長く空いて待たされたり、やっと来た料理が冷たいなど、十分に行き届いているとは言えません。
料理そのものも、披露宴の宴会料理のような感じ。いつもはもっと美味しいだけに、おいおいどうしたと言いたくなりましたが、まあ、それも含めてクリスマスなのかもしれませんね。
ホールのスタッフも、いつも以上の忙しさに、どこか心ここにあらず。おそらく厨房はもっと大変なことになっているのでしょう。また、ふだんの落ち着いた雰囲気が戻ったら、美味しい料理を食べにくることにしましょう。