バンコク在住の友人が新年早々に付き合ってくれたおかげで、タイのエッセンスを楽しむことができました。バンコク観光の要は、やはり王宮とその周辺の寺院。朝食を済ませたら、早速出発です。
さすがに観光のメッカだけあって、午前中からたいへんな人出。世界中からの観光客と、初詣に訪れたタイ国民とが入り混じり、王宮に入るのもやっと。でも、なんだかワクワクします。
まずはワット・プラケオ。エメラルド寺院として知られる、タイ王室の守護寺院です。黄金が眩しい仏塔は、間近で見ても大迫力。
その隣の建物は王室専用廟。蛇や龍の神、ナークが廟を守っています。
建物の装飾は、どれも非常に細かく、物語を感じさせます。
それでは本堂に入って、翡翠を彫って作られた仏様にお参りしましょう。本堂内には靴を脱いで上がります。内部は撮影禁止。おしゃべりや飲食も禁止。仏像に足の裏を向けることも禁止されています。
それにしても、たいへんな数の人、人、人。でも、本当のメッカに比べたら、人ごみのうちに入らないのでしょうね。
内部は荘厳の一言。エメラルド仏が高いところに安置されている他、やさしい顔立ちの仏像が。周囲の装飾にも圧倒されました。
境内の回廊内側にはタイ伝統舞踊の筋書きとしても有名なラーマキエン物語が描かれています。
チャクリー宮殿の前は、公園のように整備され、ディズニーランドのよう。
宮殿入口には、衛兵と大きな象の像。横に並んで記念撮影をしても大丈夫です。
王宮とワット・プラケオだけでも、じっくり見ようと思えば一日では足りませんが、先を急ぎます。
王宮周辺は交通も乱雑。客引きやスリに注意が必要です。
王宮から歩いてすぐのワット・ポー。タイ古式マッサージの修行場としても有名ですね。
一番の見どころは寝釈迦仏。煩悩と無縁の表情は、一度見たら忘れられません。私は腹が立ったら、思い出すことにします。
続いて向かったのは、チャオプラヤ川の対岸にあるワット・アルン。暁の寺として知られています。干物を売るマーケットの間を縫って歩くと船着き場があり、そこから片道3バーツ(約8円)で対岸へと運んでくれます。
渡し船も大混雑。激しく揺れるので、座れない場合はポールにつかまっていないと危険。川越しに見る仏塔がどんどん近くなり、あっという間に到着。
仏塔の高さは約80メートル。塔の途中まで登ることができますが、階段は急で、ひとつずつの段差が大きく、上がるのは容易ではありません。
でも、上部からは川沿いの風景や寺院全景が見え、苦労して上がる価値はあります。ただ、恐ろしいのは下り。手すりをしっかり握り、一段ずつゆっくりと下ります。
こわごわ上下する人間を、物珍しそうに見ている猫。この猫もいずれ仏様のひとりになるのでしょうか。それとも何かの化身?
また渡し船で元の場所まで戻ります。船着き場周辺は昔ながらの雰囲気。川沿いのカフェ?も楽しそうです。
ここまでで、ざっと3時間。ちょうどお昼時になったので、マンダリン・オリエンタルでランチをすることに。友人の車で移動の途中、バンコク名物の大渋滞にはまりました。
本当に、まったく、まったく車が動きません。道路は、完全に巨大細長駐車場状態。で、ある車線が流れ出すと、各車はほぼ直角に向きを変え、流れる車線になだれ込むという繰り返し。運転は大胆ですが、乱暴さはありません。それもタイの気質の表れでしょうね。
予定外に時間を要し、かつ、マンダリン・オリエンタルのレストランが心地よかったので、長いランチになりました。午後は博物館に連れて行ってくれるつもりだったようですが、時間が慌しいとのことで、ジムトンプソンの家にプラン変更です。
タイシルクブランドで世界中にその名を知られるジムトンプソン。私が生まれた年に、旅行先で失踪したままというミステリアスな生涯もドラマチックです。
そんなジムトンプソンが暮らした家は、古典的なタイ様式の建築に、西洋風の利便性を加えて改装した、リゾートホテルのような空間です。
特に素晴らしいのは、アトリエ。芸術的感性を刺激するスピリチュアルな調度品は、穏やかながらも深い存在感。ここで過ごしたら、どんな曲が書けるのでしょう。残念ながら、内部は撮影禁止でした。
母屋に床下には、古い仏像が置かれています。古い遺跡から見つかった品で、その当時から顔はなかったのだとか。どんな表情だったのか。想像は尽きません。
駆け足で回ったバンコクの主要スポット。いずれの場所もパワーがみなぎり、そこに繰り出す人間たちの慌しさと対象的な静けさや威厳、気品を感じました。
気絶しそうな雑踏に揉まれたにも関わらず、不思議と心穏やかになれた気がします。